中止・延期で苦境
MICE業界が新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営環境にあるとして、日本コンベンション協会(近浪弘武代表理事)は3月25日までに、観光庁、首相官邸に支援策を求める要望書をそれぞれ提出した。政府の大規模イベントの自粛要請を受けたイベントの相次ぐ中止・延期、東京オリンピック・パラリンピックの延期決定に伴って生じた損失への補填(ほてん)など支援策を要望した。
要望書では「3月は規模の大小を問わず、ほぼ全てのMICE案件が中止、延期に追い込まれている。終息の兆しの見えない中、4月以降の案件も中止、延期、ウェブによる代替開催など、混乱が続いている」と指摘した。延期の場合も、延期先の時期が集中し、開催に支障を来す事態を懸念している。
MICE関係事業者の経営への影響は深刻で、会員を対象にしたアンケートの結果では、売上高は2月が前年比30%減、3月が100%減だった。売上高の減少に加え、回収困難な経費も発生している。イベントの中止、延期に伴う会場のキャンセル料が負担になるケースもあるという。
要望した支援策の主な内容は、(1)東京オリンピック・パラリンピックの延期に伴う補填などの全面的な支援(2)MICE関係業種のセーフティネット保証5号対象業種への追加(3)損失補填など事業者への充実した支援(4)MICE関係のフリーランス人材への支援―など。
経営支援策のほか、開催可能なイベントの判断基準などを国が定義して発信することや、今後のMICEの活性化に向けた誘致プロモーションの強化、国による支援内容の充実などを求めた。