日本初のカジノディーラー養成専門機関、日本カジノスクール(東京都新宿区、大岩根成悦校長)は8日、メディア関係者向けセミナー「日本型IRの事業規模、経済効果、実現までのプロセス」を同校会議室で開いた。IR(Integratd Resort=統合型リゾート)とは、「カジノ施設」と「観光振興に寄与する諸施設」が一体となった施設群を指す。
講師は、ドイツ証券、ゴールドマンサックス証券などで証券アナリストとして活躍した後、現在は、カジノを含むIR整備に向け日本産業界への啓発に注力している、キャピタル&イノベーションの小池隆由社長が務めた。
同社は、政治、経済に特化したIR専門ウェブサイト「カジノIRジャパン」を運営している。
小池氏は「先進8カ国の中でカジノがまだないのは日本だけ。海外カジノオペレーターの間では『日本はラストフロンティア』と言われている」と指摘。その理由について「米国には約1千カ所のカジノがあり、自由競争のため収益性はそれほど高くない。一方でマカオ、シンガポールなどのアジア諸国では政府が参入規制を設けているため、カジノの権益性、収益性が高いが、日本型IRは後者にあたる」と説明した。
その上で、「アジア太平洋諸国では、政府がIR事業者を少数に絞って管理することで、カジノ施設の収益性を高め、その収益を使って、MICE(会議場)施設、ホテル施設、文化施設などの観光振興に寄与する諸施設全体の運営を行うことで、IRという巨大な観光文化施設を維持し、地域雇用も創出している」と解説した。
さらに小池氏は、「日本型IRの運営会社には、地域経済界、地域企業が主要株主として参加し、経営をコントロールすることが重要」と強調。海外のIR事業者に経営をゆだねることになれば、それは富の海外流出になりかねないことを示唆し、海外カジノオペレーターへの過度な依存傾向は危険であるとの認識を示した。