日本アセアンセンターは、「アクセシブル・ツーリズム・セミナー」をフィリピンで開催した。
世界観光機構(UNWTO)が2016年の世界観光の日に年間のテーマとして「Tourism for all(全ての人が参加可能な観光)」を掲げたことをきっかけに、ASEAN[1]諸国の観光関係者の間でも、ユニバーサル/バリアフリー観光を意味する「アクセシブル・ツーリズム」への関心が高まっています。
国際機関日本アセアンセンター(東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1階 事務総長:藤田正孝)は「アクセシブル・ツーリズム・セミナー」を、障害者や高齢者を含む特別な配慮が必要な旅行者のための観光環境改善を目的に、2018年3月1日にフィリピン・マニラで開催しました。世界保健機関(WHO)の推定によると、世界人口の15%に当たる10億人以上の人々が何らかの障害を持っているといわれており、観光市場におけるアクセシブル・ツーリズムの市場シェアは大きいと目されています。本セミナーはフィリピン政府観光省との共催で現地の官民観光従事者を対象に行われ、115名の参加者を集めました。
日本アセアンセンターでは、日本とASEAN諸国間の観光促進を事業の柱の一つとしています。その一環として、毎年ASEAN諸国の観光従事者を日本に招聘し、日本の観光市場・産業について学ぶ研修を実施してきました。本セミナーは、2017年10月に東京都および三重県で、ASEAN加盟国10カ国のうちミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの5カ国を対象に行ったアクセシブル・ツーリズムに関する研修のフォローアップ事業として開催され、同研修に参加したミャンマー、タイ、ベトナムの観光従事者も出席しました。
セミナー冒頭では、センターのスタッフがフィリピンを中心とした日本のアウトバウンド観光市場について講演を行いました。続いてセンターより派遣された(株)チックトラベルセンター代表取締役社長 山口寿史氏並びにNPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター中村千枝氏が、アクセシブル・ツーリズムの旅行商品や障害者の旅行サポートについて紹介しました。また、ミャンマー、タイ、ベトナム及び地元フィリピンからの参加者が、各国のアクセシブル・ツーリズムの現状について共有しました。セミナーの内容は全て、聴覚障害者向けに手話通訳が行われました。
フィリピン政府観光省・観光開発計画担当次官ベニト C. ベンソン Jr.氏(Benito C. Bengzon, Jr.)は、セミナー開会の挨拶にて、障害者の課題について意識を高め、観光地での彼らへの配慮について提唱することはアクセシブル・ツーリズムの最も重要な目的である旨強調するとともに、本セミナーの共催について、センターに対し謝意を表しました。
[1] ASEAN(東南アジア諸国連合)とは、1967年に結成された地域協力機構。加盟10カ国(ブルネイ・ダルサラーム、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)の総人口は6億3千万人を超える。
<<国際機関日本アセアンセンター>>
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター
ASEAN10カ国政府と日本政府により1981年に設立。
貿易・投資・観光・人物交流の4分野を中心に、ASEAN商品の輸出促進、日系企業の進出支援、人材育成、日ASEAN間の観光促進等を通して、日本とASEAN諸国との関係促進に貢献する国際機関です。
URL:http://www.asean.or.jp/ja/