日本の魅力 コロナ前と同じ エクスペディア・グループ アジア太平洋地域市場管理担当バイスプレジデント マイケル・ダイクス氏に聞く

  • 2022年12月22日

マイケル・ダイクス氏

旅のテクノロジーが民主化

 ――エクスペディア・グループの北東アジア統括から、アジア太平洋地域(APAC)市場管理担当バイスプレジデント(VP)に就任され、居所も日本からシンガポールに移された。

 「以前の肩書きは、エクスペディアホールディングス・代表取締役マーケットマネジメント北東アジア統括。今年の6月付で、エクスペディア・グループ・バイスプレジデント市場管理担当アジア太平洋地域に変わった。担当エリアがAPAC全体に広がった」

 ――コロナ禍が発生し、日本では、Go Toトラベル、全国旅行支援といった国内旅行需要喚起策がとられてきた。他国の動きはどうか。

 「韓国でもシンガポールでも、観光業界が最も苦しんでいる時期には同様の国内観光振興策はあった。ただ、特に秋以降の需要が回復してきた段階では、方向性が変わった。国内客からインバウンド客に目を向けるようになった。例えば、シンガポール国内では台湾の広告宣伝、オーストラリアではシンガポールの広告宣伝をよく目にする。各国の軸足は、インバウンドプロモーションに移っている。日本は10月11日に”開国”した。今後の日本の観光需要の回復の鍵は間違いなくインバウンド。円安がそれに拍車をかけている。旅行先としての日本の魅力は、コロナ前から全く変わっていない。温泉、グルメ、気候、インフラ―世界の観光客が求めるものがそろっている。エクスペディア・グループは、世界の旅行客に対して今まで以上に日本を紹介していく」

 ――コロナ禍をきっかけに世界の旅行業界はどのように変わったと思うか。

 「大きな二つの変化が起きたと分析している。一つ目は、旅行者の期待値。二つ目は、旅行業界におけるテクノロジーの民主化(テクノロジーの進化による旅行業界への異業種参入)だ。旅行者は『徹底的な顧客サービス』と『フィジカルとデジタルの融合』を求めるようになった。旅行者は、旅に出たいと思った瞬間から自宅に戻るまで、常にオンラインでつながっていて、パーソナライズされた便利な旅行をしたいと思っている。この完璧なデジタル体験のための要素は『わかりやすさ』『信頼できる情報を提供していること』『パーソナライズされていること』だろう」

 「次にフィジカルとデジタルについてだが、旅行者が旅先で受けるホスピタリティ、リアルな旅行体験はデジタル要素よりもはるかに重要だ。実体験とデジタル要素は双方がうまく調和することで、心のこもったサービスの価値をさらに高めることができる。例えば私たちの多くは、問い合わせをするためにわざわざ銀行まで足を運んだり、30分も電話で待たされたりすることにうんざりしていた。その点、チャットボットのようにすぐに回答が得られる方がはるかに良いわけだが、もし質問や問題点が発生した場合には、すぐに担当者との電話に切り替えてほしいと思っている。そしてそのような顧客の要望にうまく対応できれば、チャットボットを通じて提供した情報によって、会話時間とフラストレーションを大幅に軽減することができる。旅行でも同じことが言える。オンラインで予約したい、オンラインで情報を得たい、オンラインでチェックインしたい…。しかし、スマートフォンでは笑顔のある温かいおもてなしを再現することはできないのだ」

 ――「旅のテクノロジーの民主化」については。

 「旅行業界は大きな転換期を迎えている。旅のテクノロジーの民主化により、老舗の旅行会社や、オンラインやデジタルが充実している旅行会社だけが、旅行を販売できるわけではなくなった。宿泊施設やその他旅行サービスを販売したいサードパーティの企業、プラットフォーム、ウェブサイトの数は増え続けており、私たちはアジアを含むいくつかのセグメントで提携先数千社を動かしている」

 「テクノロジーは旅行会社にとって活用すべきものだ。ウェブサイト上での旅行の在庫や航空券、レンタカーを販売する機能だけではない。データに基づいた確かな分析により、新たな需要の高まりが期待できる。自社のトレンドを把握し、競合他社のパフォーマンスと比較し、旅行者のニーズに合わせて旅行のプランを最適化することができる」

 「旅行者は終始完璧なオンラインサービスを求めるようになった。そして、旅行サービスをどこでどのように購入するか、その選択肢はますます増えている。『旅行者の期待値』と『旅のテクノロジーの民主化』という二つの大きな変化により、旅行業界は今後も変貌を遂げていくだろう」

【聞き手・江口英一】

マイケル・ダイクス氏

 
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