日仏宿泊団体、民泊問題で緊急フォーラム


共同声明の文書にサインし、握手する日仏の宿泊関係4団体トップ (左からシュネ、デュック、北原、針谷各氏)

共同声明の文書にサインし、握手する日仏の宿泊関係4団体トップ (左からシュネ、デュック、北原、針谷各氏)

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(北原茂樹会長)と日本旅館協会(針谷了会長)は17日、東京都内で緊急フォーラム「民泊の真実〜今、観光立国フランスで起こっていること〜」を開いた。一般の民家やマンションに外国人客らを泊める民泊について、フランスのホテル団体のトップらを招き、同国の実態をヒアリング。ホテルの稼働率低下や、民泊がテロの温床になっているなど、民泊が宿泊事業者や旅行者、地域住民らに影響を与えている現状が示された。日仏両国の宿泊関係4団体は、旅行者の安全確保や事業者の納税義務履行などをうたった5項目の「“民泊”に対する共同声明」も採択した。

 フランスからは、ホテル、外食産業などの同業者組織、ホテル産業連合(UMIH)のローレン・デュック・ホテル部門会長、全国ホテルレストラン独立事業者団体(GNI)のディディエ・シュネ会長、GNIの構成団体のホテル・レストラン・カフェ・ケータリング全国協会(SYNHORCAT)のフランク・トゥルエ・エグゼクティブディレクターが出席した。

 UMIHのデュック氏とSYNHORCATのトゥルエ氏はフランスでの民泊を取り巻く現状について講演。デュック氏は「パリ市内にAirbnb(エアビーアンドビー)物件が3万5428軒あり、コントロール不可能なまま増え続けている」「消防、衛生など安全面が放置され、旅行者、地域住民が危機にさらされている。パリのテロ事件ではテロリストの潜伏先となった」と指摘。

 トゥルエ氏も「フランスの観光客数は2015年に飛躍的に増加したが、ホテルの稼働率は0.3ポイント下降。一方、民泊物件の稼働率は38ポイント上昇している」「民泊が発展しても雇用は生まれない。Airbnbはフランスで1万3300人の雇用を支えているというが、われわれは全国で90万5千人の従業者を抱えている」などと述べた。

 フランスからの3氏と全旅連の北原会長、自民党観光立国調査会観光基盤強化に関する小委員会の上野賢一郎事務局長を交えたパネルディスカッションでも、民泊に関する問題点が指摘された。

 GNIのシュネ氏は「Airbnbは各国の納税義務を守らず、所得をタックスヘブンに逃がしている」「民泊に関わる者は、それぞれの国の規制を守り、義務を果たさなければならない。民泊事業者をそのような会社にするべく、われわれは日本の皆さまとともに戦っていく」と述べた。

 民泊に関する法整備を検討する自民党観光立国調査会の上野氏は「民泊を“業“として行うならば、既存の旅館・ホテルとイコールフッティングの状況の中で、健全な経済活動を行ってもらわねばならない。旅行者、近隣住民、地域、国の安全も確保されなければならない」と指摘した。

 全旅連の北原会長は「われわれは旅館業法、建築基準法、消防法などの規制があり、これらの設備の維持管理に莫大なコストがかかっている。だが、お客さまの命を守るためには必要なことだと思っている。民泊を行う人の中に、その意味の重さを理解している人がどれほどいるか。民泊にわれわれと同じ義務を課せられないのは、イコールフッティングどころか、法治国家として許されないことだ。今の法体系と整合性を持ったルール作りを政府にお願いしたい」と述べた。

共同声明の文書にサインし、握手する日仏の宿泊関係4団体トップ (左からシュネ、デュック、北原、針谷各氏)
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(左からシュネ、デュック、北原、針谷各氏)
 
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