
要望書を読み上げる全旅連の佐藤会長(衆議院第1議員会館で行われた観光議連総会)
旅館3団体(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟)は9月28日、与党観光振興議員連盟の総会に出席し、福島第1、第2原発事故による風評被害の賠償問題について陳情した。原子力損害賠償紛争審査会の中間指針では、福島など4県の観光事業者の減収が事故と相当因果関係があるとして賠償対象としているが、東日本の他の11都県も対象に加えるよう要望した。また、全国の事業者を対象とする外国人観光客の予約解約は、予約控え分も賠償対象とするよう求めた。
8月5日に示された中間指針は、「原発事故と相当因果関係が認められる地域」として、福島、茨城、栃木、群馬の4県を明記している。
ただ、「東北地方への旅行は、東北新幹線や東北自動車道を利用し原発事故発生地を通過することから、東北方面を避けるお客さまが多く、大変な減収になっている」(旅館3団体)として、東北の他の5県(青森、岩手、秋田、宮城、山形)も賠償対象とするよう求めた。
また「中部地方以西からの旅行客が大幅に落ち込んでいる」として、関東など東日本6都県(新潟、千葉、埼玉、山梨、東京、神奈川)も対象に加えるよう要望している。
指針では4県以外でも「個別具体的な事情に応じ、相当因果関係が認められる場合は、地域等を問わず賠償の対象となりうる」としている。ただ、「因果関係があることの立証が大変」として、今回、指針自体の見直しを求めた。
外国人観光客については、原発事故発生前の予約で、5月末までの解約分を賠償の対象としているが、「原発事故が発生し日本に行きたくないとの思いから予約を控えるお客さまが多くなった」として、予約控えも賠償対象とするよう要望した。
また、「現在も原発事故の影響が続いている」として、5月末までの解約分を同日以降に延長するよう求めている。
会には全旅連の佐藤信幸会長、日観連の近兼孝休会長、国観連の有本啓治副会長らが出席。観光庁が作成した震災以降の旅行者数や、原発事故に伴う国民の旅行に関する意識調査など各種データを示し、原発事故の風評被害が広範囲にわたっている現状を訴えた。
観光議連の川内博史会長(衆議院鹿児島1区)は「中間指針の見直しに向けて意思統一したい」と述べ、旅館業界を全面支援する考えを示した。

要望書を読み上げる全旅連の佐藤会長(衆議院第1議員会館で行われた観光議連総会)