全旅連、国観連、日観連の旅館3団体は8日、東京の参議院議員会館で行われた与党の観光振興議員連盟(川内博史会長=衆議院鹿児島1区)の第5回総会に出席し、震災対策などで意見交換した。今回は全国の旅館女将約30人も参加し、原発事故による風評被害で厳しい状況にある旅館経営を女性経営者の視点で述べ、対策を訴えた。
3団体の会長は、「被災地はもちろん、被災地以外も風評被害を受けている。観光不況を何とか払拭したい」(佐藤信幸全旅連会長)、「政府系金融機関と各県の信用保証協会が柔軟な対応をするようお願いしたい」(佐藤義正国観連会長)、「震災を機に経営をやめようという旅館が出ている。このままでは宿の文化がなくなる。国内旅行の活性化を図らねばならない」(近兼孝休日観連会長)とそれぞれ要望。
女将からはそれぞれの地域と宿の窮状を訴えた。全旅連女性経営者の会の石橋利栄会長は「お客さまがいなくなり、大変なことになっている。その中でも女性は元気であらねばと、心で泣いて顔で笑ってがんばっている」。その後も「行政からゴーサインが出なければ町づくりができない。国からの後押しをお願いしたい」「収入がないところで固定資産税、事業所税を払うのはきつい。減免できないか」「交通機関の運賃割引で観光活性化を」など、意見と要望が続いた。
川内会長は旅館側と議員側の意見を取りまとめた上で、廃止が予定される高速道路料金の無料化維持を党と政府に要望することや、観光議連所属の国会議員は今年必ず国内旅行をすることなどを確認。また女将との意見交換会を今後も定期的に行いたい考えを示した。
会には観光庁の溝畑宏長官も出席し、現在進めている震災からの復興策とともに、旅館業界の税制改正要望のうち、固定資産の評価基準の見直しについて言及。建物の使用実態調査を全国約1万8千軒に行っているが、5月末までに4627軒の回答にとどまるため、多くの回答へ関係者の協力を求めた。
女将の要望を聞く観光議連の河内会長(中央)