コンサルタントのリョケン(本社静岡県、木村臣男社長)は12月15〜16日、群馬県伊香保温泉のホテル天坊で08年最後の「旅館大学セミナー」を開いた。会場となったホテル天坊の齋藤淑子社長らが講演。同館が旅行業への依存体質から脱皮し、自立運営の経営に転換した成功例を学ぼうと、全国から200人を超える旅館・ホテルの経営者が集まった。
セミナーは通算141回目で、08年度3回目。この日のテーマは「時代のニーズより半歩先を歩むために〜常に進化し続ける“ホテル天坊”の旅館経営」。法人需要の減少、宿泊単価の下落、団体客から個人客へのシフト、宿泊客の大幅な減少が進む厳しい経営環境の中で、大型旅館の同館が勝ち残ってきた理由に注目が集まった。
当日は、家業から企業へ転換、40年にわたり継続している同館の企業としての取り組み事例や、(1)エージェント依存体質から脱皮し、直接営業の強化と個人客獲得を徹底的に推進(2)利益管理に基づく計画的なリニューアルの継続的な実施──などの事例を紹介した。
齋藤社長は、「昭和43年の創業以来、ホテルになっても『シティ・アンド・リゾート』のテーマを変えていない」としたほか、「ホテルは働く人のためにある。人材こそ宝。資質のある人が経営者になることがふさわしい」と、そのための人材育成プログラムとして「TDC」(Tenbo Doctor Cource)を開講している例や、労務と業務の改善など、働きやすい環境づくりに努めている事例を紹介した。
また今後の経営方針として「お客さまに満足して泊まっていただけるかどうかは、従業員の背にかかっている。それも、長い間の継続にかかっている。ローマは1日にして成らず」と力説した。
このほかリョケンの東眞相談役が「ホテル天坊の成長と発展の軌跡」を解説した。
2日目はリョケンの桑原孝夫会長が、09年を「適者進化の時代」とする「平成21年の旅館の経営指針」を発表した(詳細を次号)。
200人以上が集まったセミナー