帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の3月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0・1ポイント増の50・4と、2カ月ぶりに改善した。輸出の好調や年度末需要がプラスとなった一方、住宅建設の減少、原材料価格の高水準が響き「国内景気は足踏み状態」と同社。業種別では旅館・ホテルが同3・3ポイント増の52・0と2カ月連続で上昇するとともに、4カ月ぶりに50を上回った。
10の業界中、7業界が改善した。このうちサービスは同0・4ポイント増の53・1と2カ月ぶりに上昇。サービス15業種では旅館・ホテルを含め、飲食店(同0・6ポイント増の44・2)、娯楽サービス(同0・3ポイント増の42・5)など10業種が改善。4業種が悪化、1業種が前月並みだった。
運輸・倉庫は同0・9ポイント増の50・5と3カ月ぶりに改善。工事関連や引っ越しなど荷動きの活発化といった年度末需要が追い風となった。
建設は同0・5ポイント減の52・9と3カ月連続で悪化。復興需要が落ち着きつつある東北などで公共工事の減少が続き、繁忙期となる年度末ながら例年に比べ工事量が低迷した。相続税の節税対策需要が一巡した貸家やマンションなど住宅着工戸数の減少もマイナス要因。
10の地域別では4地域が改善、6地域が悪化した。北関東と東海以西の西日本で悪化となっている。
規模別では、大企業、中小企業、小規模企業の全てが改善。全規模が改善するのは3カ月ぶり。ただ、1月に過去最高となる50・5を記録した中小企業は49・9と、2カ月連続で50を下回った。小規模企業は49・2で3カ月ぶりに改善も、パチンコホールを含む娯楽サービスが大幅に悪化した。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「各クライアント(SCやホテルなど)の業績が好調であり、単価交渉も順調である」(現在、良い、不動産管理)。
「人手不足により売り上げが上がらない」(現在、悪い、一般貨物自動車運送)。
「熊本地震からの復興需要による」(先行き、良い、不動産管理)。
「賃金アップが消費に向かうと予想」(先行き、良い、がん具・娯楽用品小売)。
「店舗好調の要因はインバウンド需要によるところが多く、外的要因等で突然低迷するリスクをはらんでおり、長期的には動向が分からない」(先行き、どちらでもない、貸事務所)。
「ドラッグストアの大型チェーンの出店が今後も続くため、お客さまの奪い合いがさらにし烈になる」(先行き、悪い、医薬品小売)。
「人手不足に解消の見込みがない」(先行き、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。