日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の景気動向等調査の1~3月期分を公表した。同期のホテル・旅館の業況判断DI(前期比で業況が好転した企業割合から悪化した企業割合を引いた値)はマイナス29・4で、前期(昨年10~12月期、マイナス0・6)比28・8ポイント減と、2期連続で低下した。ただ、来期(4~6月期)は0・0と、今期比29・4ポイント上昇の見通しだ。
昨年7~9月期に11・6とプラス水準に転換したが、2期連続でマイナス水準に落ち込んだ。前年同期(昨年1~3月期、マイナス5・8)比でも23・6ポイント低下した。ただ、来期は回復の見通しだ。
生活衛生関係営業全体の業況判断DIは前期比10・4ポイント減のマイナス32・4と、3期連続で低下した。来期はマイナス7・9と、今期比24・5ポイント上昇の見通し。
生活衛生15業種では、映画館が1・8と、唯一のプラス水準となった。
このほかホテル・旅館の売上DI(前年同期比で増加した企業割合から減少した企業割合を引いた値)はマイナス14・1で、前期比2・7ポイント低下。来期はマイナス0・6と、今期比13・5ポイント上昇の見通し。
ホテル・旅館の採算DI(当該期に黒字の企業割合から赤字の企業割合を引いた値)は26・1で、前期比2・4ポイント低下。来期は19・2で、今期比6・9ポイント低下の見通し。
ホテル・旅館の主な業況判断理由は次の通り。
「箱根大涌谷周辺の火山活動の観光への影響も一段落して、外国人宿泊客が好調に推移。国内客に対しては、リピーターの掘り起こしのため営業に力を入れたこともあって、宿泊客が増加し業況は良かった」(今期、好転、神奈川県)。
「外国人観光客は減少したが、シルバーの旅行客、教育旅行が堅調に推移したため好況を維持できた」(今期、好転、沖縄県)。
「外国人観光客の増加に鈍化が見られ、客単価上昇は見込めない」(今期、不変、北海道)。
「今期も前年同様、九州宿泊復興割引が実施されたため、業況はなんとか維持できている。しかし、今後の復興割引の実施状況や外国人旅行客の動向次第では影響が出てくるのではと懸念している」(今期、不変、福岡県)。
「昨年はふるさと旅行券の影響でにぎわっていたが、今年は特別に何もないため悪化している」(今期、悪化、山梨県)。
「経済的には活性化しているのかもしれないが、消費者の財布のひもが固く、客単価が低くなっているので、当期の業況は悪化する。客足はまずまずだが、客単価が年々低下している」(今期、悪化、兵庫県)。
「大型団体客の受注が決まっていることと、仙台空港の民営化で外国人観光客が少しずつ増えることが期待できるため」(来期、好転、福島県)。
「冬の湯治シーズンも終わり、郊外の温泉街への来客数が減少する。また、団体客も他の旅館との奪い合いが起きている」(来期、悪化、青森県)。