
帝国データバンクがこのほど公表した景気動向調査の今年11月分で、同月の旅館・ホテルの景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比4.6ポイント増の64.3。3カ月連続で全51業種中のトップになるとともに、7カ月ぶりに60台に到達。同調査で過去最高となった。「ホテルの稼働率が上がり、清掃の仕事が増加」(ビルメンテナンス)と、宿泊需要の拡大が他業種のDIも上昇させる要因となっている。
全業種計は同0.1ポイント増の44.8と、2カ月連続で改善した。「国内景気は個人消費関連が低調だったものの、インバウンド需要や活発な公共工事の下支えで小幅ながら改善が続く中、業界や地域で二極化傾向が鮮明となった」(同社)。
DIを10の業界別に見ると、金融、建設、製造、卸売の4業界で改善。農・林・水産、不動産、小売、運輸・倉庫、その他の5業界で悪化。サービスは前月から横ばいの50.8だった。
サービスの15業種を見ると、旅館・ホテルのほか、飲食店、メンテナンス・警備・検査など7業種で前月から改善。判断の分かれ目の50以上を記録したのは旅館・ホテルを含めて7業種。ほかの業界で50を超えた業種はなかった。
旅館・ホテルは3カ月連続で改善。今年3月以降、9カ月連続で判断の分かれ目の50を超えている。
小売は同0.7ポイント減の41.2と2カ月ぶりに悪化。節約志向の高まりを危惧する声が寄せられる飲食料品小売や各種商品小売が3カ月連続で悪化した。
10の地域別では、改善、悪化がそれぞれ5地域。
南関東は同0.4ポイント増の46.7と4カ月ぶりに改善した。好調な新車販売など小売が上向いている。
東北は同0.1ポイント減の41.3と4カ月連続で悪化。肥料や燃料価格の高止まりによる影響で農・林・水産が大きく悪化した。
規模別では大企業(同0.5ポイント増の48.4)、中小企業(同0.1ポイント増の44.2)がともに2カ月連続で改善。
小規模企業(同0.3ポイント減の43.1)は2カ月ぶりに悪化した。「コロナで離れた客が戻っていない」(日本料理店)など、小売、サービスの落ち込みが目立った。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
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