企業の人手不足が深刻だ。帝国データバンクの調査によると、正社員が不足している企業割合が49・1%と5割近くに達し、調査開始後の最高を記録。旅館・ホテルの不足割合も3カ月前の前回調査から大きく上昇している。日本政策金融公庫の調査でも、従業員不足と回答した小企業の割合が36・2%と、8年連続で上昇した。
帝国データバンクが10月に行った「人手不足に対する企業の動向調査」では、正社員が不足している企業割合が3カ月前(7月)の調査から3・7ポイント、1年前(2016年10月)の調査から7・3ポイントそれぞれ上昇した。2006年5月の調査開始以来、最高を記録した。
業種別では、旅館・ホテルが38・5%で、前回調査比11・6ポイント上昇。51業種中、前回の44位から35位に上昇した。
業種別トップは情報サービスで70・9%。以下、メンテナンス・警備・検査(64・3%)、運輸・倉庫(63・7%)、建設(63・5%)など。60%以上の業種は前回調査の4業種から7業種に増加した。
規模別では、大企業が56・4%で、前回調査から4・6ポイント増加。中小企業が47・2%で、同3・5ポイント増加。規模が大きいほど不足感が強くなる傾向だ。
このほか非正社員が不足している企業割合は31・9%で、前回調査比2・5ポイント上昇。正社員とともに過去最高を記録した。
業種別では旅館・ホテルが25・0%で、同12・5ポイント低下。前回の13位から38位に低下した。トップは飲食店で80・5%。以下、飲食料品小売(60・9%)、人材派遣・紹介(59・1%)、メンテナンス・警備・検査(55・2%)など、サービス業関連が多くを占めている。
一方、日本政策金融公庫が9月に行った小企業(従業者20人未満。飲食店・宿泊業、小売業などは10人未満)の雇用に関する調査では、現在の従業員数が最近の営業状況と比べて不足と回答した企業割合が36・2%と、1年前の前回調査比で3・3ポイント上昇した。2010年から8年連続で不足の割合が上昇している。
2009年は14・5%と2割に満たなかったが、2012年に22・9%と2割台、2014年に30・3%と3割台に達した。
不足とした企業割合から過剰とした企業割合を引いた従業員過不足DIは前年比5・3ポイント増の29・1。1992年調査の35・2以来の高水準となっている。
8の業種別では、飲食店・宿泊業が42・1%で、前年比4・3ポイント上昇した。2009年は17・3%と低水準だったが、このところほぼ右肩上がりで推移している。