帝国データバンクが1月に行った人手不足に対する企業の動向調査で、旅館・ホテルの人手不足割合は正社員で5.3%と、2006年5月の調査開始以来、最低となった。Go Toトラベル事業の開始で不足割合が上昇していたが、同事業の停止や2度目の緊急事態宣言発出で再び低下した。
調査は全国の企業約2万社に毎月行っている景気動向調査とともに実施。
各企業に現在の従業員の過不足状況を聞いたところ、正社員不足と答えた企業割合は35.9%だった。新型コロナウイルスが感染拡大する直前の前年同月(49.5%)から13.6ポイント減少し、1月としては14年(36.6%)の水準まで低下した。
51の業種別では、放送が56.3%とトップ。以下、建設(54.6%)、情報サービス(53.3%)、自動車・同部品小売(51.8%)が続く。上位10業種で前年同月から上昇したのは8位の電気通信(6.9ポイント増の44.4%)のみ。「在宅勤務などリモート需要の高まりから増加している」(同社)。
旅館・ホテルは5.3%で、3カ月連続で低下した。前年同月の61.5%から、新型コロナの感染拡大で急落。4月に12.5%まで低下した。その後は上昇傾向となり、Go Toトラベルの利用が広がった10月に43.3%。ただ、その後は同事業の一時停止などで数字が再び低下した。
旅館・ホテルから「緊急事態宣言によるキャンセルが多く、休館が避けられない状況になった」「緊急事態宣言の影響と全国的な感染拡大により旅行需要は皆無。消費者のマインドは冷え切っている」などの声が上がっている。
非正社員の人手不足割合は、旅館・ホテルが16.7%と、2カ月連続で低下した。全業種計は19.1%。