日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の設備投資動向に関する調査を行った。2019年(1~12月)に設備投資を行った企業割合は、ホテル・旅館が63.9%と、08年の調査開始以来、最高となった。設備投資の目的は「補修・更新」が最も多く、今後については「インバウンド対応」などを挙げる声が増えている。
ホテル・旅館の設備投資を行った割合は、08年に40.6%、09年に47.6%を記録したのち、12年まで3年連続低下。ただ、その後は上昇基調となり、15年に50%、16年に60%をそれぞれ突破した。19年は16年(63.8%)を超え、調査開始以来の最高となった。
19年に設備投資を行った企業に、その目的を複数回答で聞いたところ、ホテル・旅館は「補修・更新」が91.2%とトップだった。以下、「売り上げ増加」(30.7%)、「省エネルギー・環境配慮」(25.4%)、「合理化・省力化」(21.9%)、「インバウンド対応」(9.6%)の順。
設備投資の総額は、「100万円以下」が26.1%、「100万円超、300万円以下」が23.5%、「1千万円超」が22.6%などとなっている。
一方、ホテル・旅館が19年に設備投資を実施しなかった理由は(複数回答)、「景気の不透明感」が47.6%と最も多く、「収益の悪化」(42.9%)、「事業の先行き不安」(40.5%)が続いた。
20年1月以降の設備投資の必要性について、ホテル・旅館で「感じている」とする割合は73.9%。その目的は(同)、「補修・更新」が88.7%と突出して多く、以下、「売り上げ増加」(40.6%)、「合理化・省力化」(36.1%)、「省エネルギー・環境配慮」(30.8%)が続いている。
19年の目的で9.6%だった「インバウンド対応」は、ここでは18.8%と数字が跳ね上がる。
20年1月以降の設備投資の予定金額は、「1千万円超」が35.3%と最も多い。
今後の設備投資を実施する上での問題点は(同)、「設備投資の金額が高額」(56.4%)が半数以上を占め、このほか「景気の見通しに不安、不透明感がある」(46.6%)、「自己資金が不足している」(40.6%)なども高い割合となっている。
調査は全国の生活衛生関係営業3290企業に行い、3137企業が回答。このうちホテル・旅館は180企業が回答した。
なお、調査は新型コロナウイルスが感染拡大する前の2月中旬に行っている。