旅館でユニバーサルツーリズム推進セミナー開催


電動カートを使ったツアー

講演や電動カート試乗会

 長野県諏訪地域で介護の専門家による入浴介助サポートを実施しているユニバーサル・サポートすわ(牛山玲子代表)は3日、上諏訪温泉の旅館、浜の湯で、「ユニバーサルツーリズム(UT)推進セミナー」を開催した。周辺の旅館・ホテル、運輸関係者ら約30人が聴講。セミナー終了後には館内で電動カートに試乗できる体験会も催した。

 基調講演では、近畿日本ツーリスト(KNT)仕入企画部部長の荷見篤志氏がウィズコロナ時代の個人旅行をテーマに登壇。同氏は横浜支店長時代に、UT推進事業を数年間にわたり指揮を執り、観光施設のバリアフリー情報の調査事業などを手掛けた。

 最近の旅行動向として毎月のように旅行に出掛けるリピーターや、男性1人旅の増加、特定のファンを対象としたツアーが顕著に動いて、旅行計画の直近傾向も強まっていると分析。コロナ禍の中、旅行の必要性が高まっていると指摘し、今後は(1)テーマを決めた個人・リピーターによる旅行(2)卒業旅行の多様化(3)職場旅行の小グループ化(4)県をまたいだ地域割の旅行(5)企業の福利厚生とGo Toトラベルの両方を活用した旅行――が主流になるなどと述べた。

 セミナー講師は、UTアドバイザーの渕山知弘氏と、富士見高原リゾート営業企画室課長の藤田然氏が務めた。テーマは渕山氏が「足腰が不安なシニアにも誰でも選ばれる諏訪へ」。藤田氏が「観光庁心のバリアフリー認定制度について・長野県の動きなど」。
渕山氏はKNTと、クラブツーリズムに30年間勤務。そのうち22年間はUTに携わった。現在は日本のUTをJNTOのサイトなどから全世界に発信している。

 渕山氏は、日本では超高齢化が進み、障がい者も合わせると人口の3分の1が何らかの配慮が必要になっていると指摘。次の観光特需は2025年の大阪万博が予想されるが、旅行に行きたいが(高齢化などで)旅行に行けないといった人が増えることが予想される。今後は、こういった層を取り込んでいくことが必要と述べた。

 その一例として、以前携わった「長い距離は歩きません」という旅行商品の開発から、旅館・ホテルなど広い館内を簡単に移動できるツールの提案に加え、観光地では少し歩いたら座れる椅子などがあると喜ばれるとした。

 併せて、温泉旅館での入浴介助サービスの重要性も唱えた。シニアに人気がある佐賀県嬉野温泉が提供している佐賀嬉野バリアフリーツアーセンターの事例を紹介。諏訪地域では、ユニバーサル・サポートすわと連携するシステム構築を提案した。

 観光庁心のバリアフリー認定制度の取得方法を紹介した藤田氏は、障害のある修学旅行生を受け入れた県内施設の受け入れ事例を紹介。多様な受け入れ環境の構築が必要などと述べた。

 同氏が勤務する富士見高原リゾートは、地域の自然や温泉、ものづくり体験を軸に、地域の医療や福祉関係者などとも連携を図り、UT着型プログラムを地域全体で開発している。今までの健常者視点の滞在プランとは異なる「足腰が不安なシニア層や要介護者も誰もが楽しめる富士見・諏訪」がテーマという。

温泉旅館での入浴介助サービス

UTの健全な育成が欠かせない

電動カートを使ったツアー

UT推進セミナーの様子

電動カートの試乗会も実施

 
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