帝国データバンクが昨年12月、全国の企業に行った景気動向調査で、同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント減の35.0と、7カ月ぶりに悪化した。「国内景気は新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした」と同社。業種別では旅館・ホテルが16.9ポイント減の11.9と、過去最大の下落幅だった。
旅館・ホテルは新型コロナが感染拡大した昨年3月に7.0と、前月(23.2)を16.2ポイント下回った。今回の下落はそれを上回る。
10の業界別では、旅館・ホテルを含めたサービス、運輸・倉庫、小売など8業界が前月比でマイナス。製造(0.6ポイント増の33.9)とその他(1.4ポイント増の30.8)がプラスだった。
51の業種別では旅館・ホテル、飲食店、娯楽サービスなど28業種でマイナスだった。
10の地域別では、8地域がマイナス。プラスは北陸(0.3ポイント増の35.0)と四国(0.1ポイント増の35.4)の2地域だった。「特に地方における観光や消費関連の落ち込みがみられた」と同社。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「Go Toトラベルなどで一時回復しつつあったが、新型コロナウイルスの感染拡大とともに一気に冷めた」(現在、悪い、旅館)。
「Go Toキャンペーン中止におけるキャンセルの影響」(現在、悪い、国内旅行)。
「年末年始のGo Toキャンペーンが中止になり、予想以上に厳しい状況となった」(現在、悪い、一般貸切旅客自動車運送)。
「感染が拡大したことから、順調に推移してきた温泉旅館などのキャンセルが多く発生。小売や卸売も恒常的な売り上げ減少が続いている」(現在、悪い、信用金庫・同連合会)。
「新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要のため」(現在、良い、スーパーストア)。
「テレワークやウェブ会議の影響、密を避ける行動によって、収束後でも旅行需要は2019年の状態には戻らないと考えている」(先行き、悪い、一般旅行)。
「東京五輪が開催できれば、バスの需要は高まり、6カ月後、1年後は良いと思う」(先行き、良い、一般貸切旅客自動車運送)。