旅行各社、春節需要取り込みに課題も


個人客の受け付けも始まったが… (昨年7月の個人ビザ客歓迎式)

個人客の受け付けも始まったが… (昨年7月の個人ビザ客歓迎式)

 経済の低迷に苦しむ日本の一方で、著しい経済発展を遂げている中国。富裕層を中心に消費意欲が旺盛だ。旅行への興味も強く、訪日中国人は増加傾向。中でも1、2月は、中旬に旧歴の正月「春節」があり、多くの中国人観光客が見込める。特に今年は、後退気味の国内需要に代わるものとしての期待感や、昨年7月の個人ビザ解禁などから、各旅行会社が需要取り込みを狙ったが、取り扱い拡大にはまだまだ研究が必要なようだ。

 中国では春節から3日間を休日としていることから、その前後1カ月に旅行をする人が多い。今年は春節が2月14日だったことから、1月中旬から3月中旬ごろまでがピーク期とみられる。

 1〜2月の取り扱い状況について「昨年よりは期待できる」というのはANAセールス。団体旅行の取扱人数は対前年比42%増の1725人と大きく伸ばしている。昨年は原因不明のキャンセルが多発したため、3月の訪日中国人旅行の地取り扱いが予想よりも伸びなかったが、「今年は不安要因も特に見当たらず、このペースであれば昨年実績を大きく超えられるのでは」と話す。

 ANAセールス、KNTによると、人気の方面は、北海道と東京。北海道は、昨年中国で公開された映画「非誠勿擾」の人気で中国人の関心が高まっていることなどが背景。「特にスキー商品が売れている」(ANAセールス)。また東京は、見どころやショッピングスポットの多さから根強い人気があるという。

 「正確な取り扱い状況の集計はこれから」と話すのは日本旅行。先行受注の状況から「期待ほどの伸びはない」。前年並みの数字を見込んでいる。KNTは1千人強の取り扱い状況。同社の場合は春節需要と関連の薄い訪日教育旅行も含んでおり「春節の伸びはつかみにくい」という。

 昨年は取り扱えなかった個人旅行。富裕層が対象のため、各社とも取り扱い拡大を図りたいところだが、「思ったよりは伸びていない」(ANAセールス)のが現状のよう。

 JTBも春節の個人旅行では苦戦した。訪日外国人パッケージツアー「サンライズツアー」での新たな試みとして、中国語で案内する横浜発着の富士、箱根への日帰りツアーを2月15、16日に設定。中華街にいる親戚に訪問する人を見込んで、発着場所を中華街に近いホテルニューグランドにする工夫もしたが、催行は1日のみ。参加者もわずか。「告知期間の短さや、来日後のツアー申し込みに慣れていないことが原因」と同社。とはいえ「中国人の個人旅行者が今後増加するのは間違いない」として、春節時期に限らず需要の掘り起こしには力を入れていく考えだ。

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