
1日に発生した令和6年能登半島地震で、石川県能登半島の旅館・ホテルを中心に大きな被害が出ている。施設の直接被害ほか、同県のその他の地域や富山、福井、新潟各県では通常営業している施設も多いが、宿泊キャンセルが目立っている。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)が3日までに、4県の旅館ホテル組合に状況をヒアリングした。内容は以下の通り。
〔石川県〕被害の大きい地域は地震被害の対応中で、被害の全体像の把握までには時間がかかりそう。和倉温泉は大きく損壊している施設があるとの情報。輪島は火災があった朝市周辺に組合員施設がある。災害協定に基づき、県から組合に要援護者の受け入れ要請があり、現在対応中。
〔富山県〕営業停止をするまでの被害報告は今のところなし。従業員、宿泊客などの人的被害も今のところなし。エレベーターの一時停止、ガスの一時停止、外壁、廊下、館内の壁にひび、配管の破損など。
〔福井県〕営業停止をするまでの被害報告は今のところなし。従業員、宿泊客などの人的被害報告も今のところなし。激しい揺れによるエレベーター停止、ボイラーの故障など。
〔新潟県〕糸魚川、柏崎、佐渡地域で配管のズレ、破損の施設が多い。月岡エリアは重油が混じることで温泉の使用不可の施設もあった。県下では揺れによるエレベーター停止が多かった。1月1日は高速道路通行止め、上越新幹線の運休で、帰宅困難者の対応があったが、混乱なく対応できた。1月2日から道路、電車は動いている。被災者受け入れは県からの要請は今のところないが、対応可能な施設はある。
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施設の大きな被害を受けていない旅館・ホテルも宿泊キャンセルが目立っている。富山県のある旅館は「常にキャンセルが出ている状況。恐らく1千万程度はキャンセル損失があると予測」。同県の別の旅館は「県外からの団体は全て取り消し。新規予約がない。(地震後の宿泊は)帰る方法がなく、延泊されるお客さまのみだった」とコメントしている。
福井県の旅館は「今後もしばらくはお客さまが期待できない。1年で一番の繁忙期となる時期。このままでは経営が成り立たない」と悲痛な声を上げる。