
新宿ワシントンホテルとホテルグレイスリー新宿を運営するWHG新宿(東京都新宿区、和田修治総支配人)は、毎日新聞MOTTAINAIキャンペーン事務局と連携し、朝食のビュッフェ会場に「MOTTAINAI」のロゴを配したポスターやPOPの掲示を始めた。物を無駄にしない「もったいない」の理念を外国人にも伝えて理解を求める試みで、「効果はてきめんで、食べ残しが減った」と手応えを感じている。
同キャンペーンはケニアでの植林活動「グリーンベルト運動」の功績が認められ、2004年にノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさん(1940~2011)の提唱でスタートした。マータイさんは05年に毎日新聞社の招きで初来日した際、同社の編集局長とのインタビューで「もったいない」という日本語に出合い、「Reduce(ゴミ削減)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)という環境活動の3Rに加え、かけがえのない地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められている」と感銘を受け、環境を守る合言葉として世界に広めることを提案した。 以来、毎日新聞社が中心となって、さまざまな環境保全活動を展開し、集まった協賛金や寄付金をグリーンベルト運動に送っている。
今回の試みはホテル側からの相談がきっかけだった。コロナ禍が一段落して外国人観光客の利用が増える一方、朝食のビュッフェでの食べ残しが増加。その対策として、スタッフが「MOTTAINAI」という言葉の活用を発案し、事務局に連絡した。両者で協議した結果、ロゴやツリーのイラストに加え、「お食事は食べられる分だけお取りください」というメッセージを日英中韓の4カ国語で表記した印刷物を作製し、レストラン入り口や取り皿置き場のほか、卓上の紙ナプキン入れにも掲示した。
効果はすぐに現れたという。新宿ワシントンホテルのレストラン従業員、手島優希さん(26)は「利用者の皆さんが掲示物をよく読んでくださり、食べ残しは半分くらいに減った感じです」と話す。宿泊客のカナダ人大学生、エマ・リーさんは「MOTTAINAIはとてもいい言葉」と感心していた。
WHGはこの取り組みに併せ、宿泊代の一部をグリーンベルト運動に寄付できる「SDGsプラン」の販売も始め、ホテル運営を通じた地球環境の保全に努めていくことにしている。