政府、“新”観光立国推進基本計画を閣議決定


 政府は3月30日、2012年度から5カ年を対象期間とした新しい「観光立国推進基本計画」を閣議決定した。観光施策の基本方針には、地域経済の活性化などに加え、東日本大震災からの復興に貢献することを盛り込んだ。具体的な目標としては、16年までに訪日外国人旅行者数を1800万人、日本人の国内観光の年間宿泊数を1人当たり2.5泊にすることなどを掲げた。

 観光立国の実現に向けた施策を示す基本計画は、観光立国推進基本法に策定することが規定されている。07年6月に閣議決定された前の基本計画の期間終了に伴う改定で、観光庁が有識者でつくる国土交通省の交通政策審議会観光分科会などに諮って策定を進めた。

 新しい計画の基本方針では、震災復興について、「観光が復興を支え、日本を元気づける」をテーマに据えた。被災地と国内外の旅行者との観光交流を促進。観光を「広告塔」として震災、原発事故で失われた「日本ブランド」を回復させる。福島県をはじめとする被災地の風評被害の対策にも長期的に取り組む。

 震災復興への貢献のほか、経済の低迷や人口減少といった国、地域が抱える課題解決に向け、「観光が日本経済と地域を再生する」と盛り込んだ。交流人口を拡大させる観光産業を「国の成長産業」と位置づけて発展させ、消費や雇用を生み出し、投資を呼び込んでいく。

 具体的な目標の設定には、「観光のすそ野の拡大と観光の質の向上」を目指し、旅行者数や宿泊数の増加に加え、旅行者の満足度などに指標を設けた。満足度などの数値目標は、旅行者に対するアンケート調査などに基づき達成状況を把握する。

 主な目標は、訪日外国人旅行者数と日本人の国内観光の宿泊数以外に、16年を目標年次として、(1)日本国内での旅行消費額を30兆円(2)国際会議の開催件数を(10年実績の741件から)5割以上増加、アジア最大の開催国(3)日本人の海外旅行者数を2千万人(4)訪日外国人の満足度で「大変満足」を45%程度、「必ず再訪したい」を60%程度(5)日本人旅行者の国内観光地域に対する満足度を「大変満足」「必ず再訪したい」をそれぞれ25%程度──と定めた。

 主な目標の達成に重要な指標として、「参考指標」も設定した。特に地方の活性化や旅行市場の拡大にかかわる数値目標を定めている。具体的には、訪日外国人のゴールデンルート以外の地域(東京都、千葉県、大阪府、京都府以外の地域)の延べ宿泊者数を2400万人程度、日本人の若年層の国内観光の1人当たりの年間宿泊数を3泊など。

 目標達成に向けて国は政府を挙げて施策を推進し、地方自治体や事業者、住民、旅行者にも努力を求め、オールジャパンの態勢を築く。観光庁が主導的な役割を果たすべき施策には、(1)国内外の旅行者に選ばれる魅力ある観光地域づくり(2)オールジャパンの態勢による訪日プロモーション(3)国際会議などMICE分野の国際競争力の強化(4)休暇改革の推進──を掲げた。

 
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