徳島大正銀行は2月18日から、徳島県勝浦郡上勝町で近畿大学の学生と地域活性化イベントを催している。サウナ体験やマグロの解体ショーなどをプロデュース。人口約1300人の小さな町を活気づける。
きっかけは、同行と近大が2022年3月に結んだ包括連携協定。近大生が観光プランを企画する講義の一環で同年9月に同行本店を訪問。地方創生の取り組みについて意見を交わすなかで、イベントの企画が持ち上がった。【記事提供:ニッキン】
左奥にある黒いテントでサウナを楽しんだ人は河原で「ととのう」ことができる(2月18日、上勝町内)
主体となったのは、行内公募で集まった20代の若手行員8人。近大経営学部商学科の四宮由紀子准教授のゼミ生とスクラムを組み、ウェブ会議などで打ち合わせを重ねながら収支も含めた詳細な計画を煮詰めていった。
実施場所に選んだのは、ごみゼロ活動や料理に添えるつまものの栽培で知られる上勝町。同年11月には、行員と学生が町役場など5か所を訪問してイベント案をプレゼン。関係者からの後押しを受けて実現にこぎつけた。
イベントは「上勝でととのう」と題し、2月18、19、23~26日の計6日間開催。ゼミ生の谷勇紀さんが自身の活動として手掛ける「テントサウナ」が目玉の一つで、上勝町の自然を全身で感じられる体験型企画となった。
河原に設置した耐熱性のテント内は90~100度に設定。汗をかいた後は、水風呂や目の前に広がる川でクールダウンできる。アロマストーンを熱する燃料には、近大が開発した植物由来の「バイオコークス」を用いた。
昨今のサウナブームもあり、150人以上の予約を集めた。谷さんは「大学生だけでは地域を盛り上げるハードルは高い。徳島大正銀行とコラボさせていただけて本当にありがたい」と感謝する。
同18日には近大が開発した完全養殖のクロマグロ「近大マグロ」の解体ショーも実施。行員と近大生が協力して運営に当たるなか、大勢の人が見物に訪れた。50キロ級のマグロが豪快にさばかれる様子に子供たちの歓声やカメラのシャッター音が上がった。
このほかにも、地元産品を販売するマルシェ、バイオコークスの利活用を学べるセミナーなど、同行と近大の連携でさまざまなイベントを企画。板東豊彦頭取は「最初は当行と近大の連携だったが、町や関係者を巻き込みながら大きく幅が広がったイベントになった。こうした取り組みを、他地域にも広げていければ」と語った。
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