復興庁、東日本大震災被災地の復興事例集公開


事例集の表紙

民間出向者が産業復興支援

鉄道、観光農園などで奮闘

 復興庁は3月18日、「岩手/宮城/福島 民間出向者による東日本大震災被災地産業復興支援事例集2012―2020」を無料公開した。同庁ウェブサイトから全51ページのA4版PDFのデジタル冊子を閲覧、プリントできる。

 復興庁では、2012年2月の復興庁発足以来、20年度までの9年間に47の民間企業・団体等から出向者139人を「政策調査官」として採用。それぞれの専門分野の知見を生かした復興支援を行ってきた。同事例集では、政策調査官に焦点を当て、当時の奮闘の様子や苦労話などを、関係事業者との対談形式で紹介している。

 事例集では「地域マッチング『結の場』」、岩手県「山田町役場」、宮城県山元町「山元いちご農園」、宮城県仙台市「サムライアロハ」、福島県「双葉町役場」、福島県いわき市「おのづか食品」の6事例を取り上げている。

 山田町役場の事例は、19年3月に全線開通した三陸鉄道リアス線の一部である山田線の復旧、復興までの取り組みを、政策調査官として京阪電鉄から復興庁岩手復興局経由で山田町に出向した鉄道建設技術者2人と山田町役場職員3人との座談会形式で紹介。支援の課題、取り組みの流れ、支援ポイント等の項目に分けて写真付きで分かりやすく記載した。山田町の観光コンテンツの魅力紹介コーナーも設けた。

 山元いちご農園の事例では、被災直後から再建を開始し、生産(1次産業)だけでなく、加工(2次産業)、販売(3次産業)も行う6次産業化に成功するまでの過程を具体的に紹介した。現在はいちご狩りのできる観光農園として、入場者数を順調に伸ばし、年間7万人を受け入れるまでになっている。成功の陰の力として、KDDIから出向した政策調査官が最先端のIT農業の実現を支援。いちごの生産技術高度化施設と、ワイナリー、いちご加工施設、薬草加工施設を併設し、観光・体験・学び・研究の場として、国内外から人々が集まる場となることを目標に掲げている。

 サムライアロハの事例は「仙台から生まれたアロハシャツ 地域雇用と着物のリメイクからSDGsを目指す」、双葉町の事例は「双葉町役場での復興と町づくり お互いが手探りで町の将来のためにひとつずつ問題解決」、おのづか食品の事例は「震災後の需要と変化に合わせて いわき商工会議所の小規模企業・販路拡大支援の成果」として掲載した。

 復興庁は20年6月の法改正により、設置期間を10年延長。21年度からの5年間を「第2期復興・創生期間」として位置づけ、被災地域の産業復興も含む復興事業を継続していく。

 同事例集のURLは(https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat4/sub-cat4-1/20210312131530.html)。

事例集の表紙

山田線(宮古―釜石間)が復旧し、三陸鉄道リアス線が全線開通した

 
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