オリックス・ホテルマネジメントは3月17日までの間、会津若松市(福島県)と連携し、同社が運営する旅館「会津・東山温泉 御宿東鳳」で、スタッフによって遠隔操作されたアバターによる接客の実証実験を行っている。声だけでなくスタッフの表情や身振りなども伝達でき、リモートワークが難しいとされる接客業において、人材の有効活用や接客の新しい可能性を模索する。
今回の実験では、アバターや生成AI技術を使ったオンライン接客サービス「AVACOM」を提供するAVITA株式会社の技術を採用した。実験は2月17日からの1カ月間で実施。旅館のコンシェルジュカウンターやラウンジにアバターが映し出されるモニターを設置し、スタッフがオペレーターとして遠隔対応する。会津若松市も同期間に市内の観光名所「鶴ヶ城」に同じくモニターを設置し、会津若松観光案内所のスタッフが遠隔対応する。観光案内所のスタッフは東鳳のアバター操作も可能で、宿泊客から市内観光に関する質問などへも対応できる。
2月16、17日は東鳳のラウンジで、お酒の時間や会話をアバターが盛り上げるイベント「アバタースナックin東鳳」が開催された。アバターの“中の人”にはお笑いタレントが起用され、東京から遠隔で宿泊客との会話を盛り上げた。2日間で約100人の宿泊客が利用し、会津観光の思い出話やプライベートな相談事など、アバターとさまざまな話題で楽しんでいる姿が見られた。
イベント利用者にはアンケートを実施。同社によると、満足度などを低評価1から高評価5までの5段階評価で調査した結果、「どのくらい満足したか」「またこのイベントに参加したいか」の項目に対して5ポイント中4ポイントを超える評価も見られ、イベントとしては成功だったと総括した。「旅館という施設の特性上、グループで参加する方が多く見られた。1組、2組とお客さまが増えていき、多くのお客さまに楽しい時間を過ごしてもらえた」(同社)。
東鳳に設置されたモニター
アバタースナックの様子