山形県、ユニバーサルツーリズム普及促進へモニターツアー 心のバリアフリー研修会も実施

  • 2022年12月1日

乗馬クラブでのホースセラピー体験

 山形県は蔵王地域(蔵王温泉、蔵王坊平、蔵王猿倉)を通年型の観光地として確立していくことを目指し、「世界の蔵王プロジェクト」を推進している。同プロジェクトの一環として、蔵王地域において高齢者や障がい者など誰もが楽しめる観光(UT=ユニバーサルツーリズム)の普及促進を目的に11月12~14日(2泊3日)、モニターツアーを実施した。同ツアーに同行取材した。

 モニターツアーには、山形バリアフリー観光ツアーセンターの加藤健一代表理事ら車椅子使用者3人と介助者3人が参加。受託事業者である、地球の歩き方総合研究所がツアーを実施し、実施主体の山形県観光文化スポーツ部職員らも同行した。

 山形バリアフリー観光ツアーセンターのリフト付きワンボックス車両で、山形市、上山市の新しい観光スポットなどを回った。

 多目的トイレやスロープなどバリアフリー対応が整った「斎藤茂吉記念館」と「山形県美術館」の見学、乗馬クラブ「ZeN Riding Club」でのホースセラピー体験、アスリート向けリカバリー施設「高源ゆ」での特別アロマトリートメント体験、かみのやま温泉「日本の宿 古窯」での楽焼絵付け体験、「七右エ門窯」での陶芸体験などを行った。

 

乗馬クラブでのホースセラピー体験

 

 宿泊は、バリアフリー客室を備え、貸し切り風呂などで車椅子使用者も介助者を伴って温泉入浴ができる「蔵王四季のホテル」と「蔵王国際ホテル」に1泊ずつ宿泊した。

 例えば、蔵王四季のホテルは六つのバリアフリー対応客室に、車椅子から移乗しやすい高さ45センチメートルのセミダブルベッドを2台配置。トイレ、洗面所には段差がなく、車椅子のまま移動ができるようになっている。大浴場・貸し切り風呂も、スロープ、着替え用ベンチ、手すり、シャワーチェアなどを備えたバリアフリー対応となっている。

 

「蔵王四季のホテル」のバリアフリールーム(写真は加藤氏)

 

 今回のモニターツアーで特に好評だったのが、七右エ門窯と高源ゆでのアロマトリートメント体験。七右エ門窯の陶芸場所には急な階段や段差があり、折りたたみ式簡易スロープを使って、車いすでも移動することを可能にした。できるだけ車椅子に座ったままで陶芸体験ができるようにテーブルや椅子を使うことで、やりやすいポジションを作ってくれた。スタッフの方の手際が良く、難を難と感じさせない対応力は素晴らしかった。アロマトリートメントは、高源ゆ施設内で「Kamikobuchi」が提供しているリンパトリートメント。参加者からは「リンパの流れが良くなったのか、一日中、足が温かかった」と好評だった。

 

七右エ門窯での陶芸体験

七右エ門窯での陶芸体験では、折りたたみ式簡易スロープを使った

 

 この二つに共通しているのが「臨機応変」さと「心使い」。あるものを使って、ちょっとした工夫をすることで、解決できることや、相手を思い、少しでも良い体験をしてもらいたいという気持ちが伝わってきた。これこそが、「ユニバーサルツーリズム」に求められていることと実感した。

 モニターツアーに参加した群馬バリアフリー観光情報局「ココフリ群馬」代表の木暮奈央さんは、「街中などで障がい者を見かけて、助けたいと思った時に、声のかけ方が分からないという方がよくいるが、『あいさつ』だと思って気軽に接してほしい」と心のバリアフリーの大切さを強調。加藤氏は、「『障がい者だから助ける』ではなく『困っている人を助ける』という気持ちを持ってほしい。障がい者側は、気負わない、対等な関係を望んでいる」と話す。

 

日本の宿「古窯」での楽焼き絵付け体験

 

 モニターツアー実施翌日の15日には、「『観光施設における心のバリアフリー認定制度』取得に向けた研修会」を「蔵王温泉 名湯舎 創」の会議室で実施。県内の宿泊事業者ら16人が参加した。

 研修の前半では、専門家(山形バリアフリー観光ツアーセンターの加藤健一代表理事)から実践的アドバイスをもらいながら、車いすでの旅館のじゅうたんの上での移動体験や、障がい者の目線でチェックインから部屋での過ごし方までの対応策を考えるなど「受入態勢向上に係る実践研修」を行った。

 

車いすでじゅうたんの上での移動を体験(名湯舎 創)

 研修の後半は、観光庁の「心のバリアフリー認定制度」取得に向けた研修を実施。心のバリアフリーに係る座学とグループワークを行った。

 研修の中で、「(障がい者が)宿のホームページを見て泊まる旅館を決める時のポイントは何か」という質問を受けた加藤氏は、「人(宿泊する障がい者)によって、必要な対応が変わるため、バリアフリーの情報よりもバリアの情報の方がありがたい。バリアの情報というとネガティブな情報と捉えがちだが、その情報を各施設自身が把握しておくことは重要だ。多目的トイレ、お風呂、パブリックスペース、食事会場など、それぞれの場所の情報をA4の用紙1枚にまとめておいていただくと、予約時に答えることもできるし、郵送もできるし、宿泊時に渡すこともできる」とアドバイスした。

 研修を終えた参加者の1人は「バリアフリーにはお金がかかるというイメージがあったが、知恵一つでさまざまな対応ができるということが分かった。現在あるものを活用できるので、今日明日からできることがたくさんあると感じた」と話していた。

山形バリアフリー観光ツアーセンターのリフト付きワンボックス車

 

 
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