山形県、「世界の蔵王プロジェクト」で快適なバリアフリー観光探るファムツアー 

  • 2021年10月4日

かみのやまクアオルト健康ウォーキング

 山形県は9月17~19日の2泊3日の日程で、「世界の蔵王プロジェクト 誰もが楽しめる新たな観光コンテンツ創出事業 ファムツアー」を行った。山形バリアフリー観光ツアーセンターの加藤健一代表理事ら車椅子使用者3人と介助者3人が参加した。受託事業者である、地球の歩き方総合研究所がツアーを実施。連携事業者の近畿日本ツーリスト、実施主体の山形県観光文化スポーツ部職員らも同行した。

 のぞみ観光バス(山形県山形市)が山形バリアフリー観光ツアーセンターのアドバイスを受けながら5月に完成させた電動リフト付きマイクロバスで、蔵王周辺の代表的な観光地を巡った。

かみのやまクアオルト健康ウォーキング

 

 上山城では、展示館、展望台を見学。上山市が推進する「かみのやまクアオルト健康ウォーキング」の「蔵王高原坊平コース」(3.6キロメートル)を約1時間かけて車椅子で周った。

 蔵王猿倉ではニジマス釣りを、観光果樹園高橋フルーツランドではぶどう狩りを体験。駐車場から展望台までのバリアフリールートが完備されている「蔵王のお釜」なども訪れた。

 

ニジマス釣り

 

 宿泊は蔵王温泉の「蔵王四季のホテル」と「ルーセントタカミヤ」のバリアフリールームにそれぞれ1泊。貸し切り風呂で温泉入浴もした。

 

 ルーセントタカミヤではタカミヤホテルグループ常務(高見屋旅館女将)の岡崎純子氏との意見交換会を実施。参加者たちが、車椅子利用者を受け入れる宿泊施設全般に対して数々のアドバイスを次のように述べた。

 「バリアフリー対応の努力をしていただいているお宿は多いが、ベッドのマットが柔らかすぎて身体が沈んでしまい車椅子に移動しにくかったり、貸し切り浴場にせっかくシャワーチェアが用意されているのにセッティングまでしていただけなかったりと細かい部分での配慮が足りないことがある。お宿の方自身が実際に車椅子に乗って館内を回っていただければ、気づいていただける部分も多いと思う」

 「エレベーターやトイレのバリアフリー改修を全て業者に任せると高額な費用がかかるが、ちょっとした工夫次第で、お金をかけなくても施設のバリアフリー化は実現できるのではないか。例えば、孫の手状の肩たたきをエレベーター内の壁にぶら下げて『ボタンが届かない方はお使い下さい』と表示している施設がある。手が上がる車椅子使用者ならこれでも十分だ。共用トイレも、例えば掃除用具置き場のスペースを移動して、仕切り板を外し、隣の個室のサイズを拡大するだけで車椅子が入れるようになる場合もある」

 「バリアフリールームに宿泊する障がい者とのミスマッチを防ぐために、お宿には事前にそのバリアフリールームの内容の情報開示をお願いしたい。障がい者の身体の状態は十人十色。電話予約の時に、お宿には気兼ねなくいろいろ尋ねてもらいたいし、部屋の情報を教えてほしい。その上で利用者がその部屋を選んだのであれば、トラブルにはつながらないと思う」

 これらのアドバイスに対して、岡崎女将は「既存の施設を上手に生かしながら、受け入れ側が『心のバリアフリー』で接することが大切だと再認識できた」と感謝の意を述べた。

 

意見交換会

 

 山形県は、県内最大規模の観光地である蔵王温泉を活性化し、国際競争力の高いスノーリゾートの形成を目指す「世界の蔵王プロジェクト」を推進。同プロジェクトの一環として、バリアフリー化に対応した受け入れ態勢の促進を掲げている。今回のファムツアーは、世界の蔵王プロジェクト実行委員会事業の中の「誰もが楽しめる新たな観光コンテンツ創出事業」として行われた。

 同事業ではその目的を次のようにうたっている。

 「蔵王地域におけるSDGsに対する実践的な取り組みを見据え、バリアフリー(情報のバリアフリー、心のバリアフリーを含む)を意識した観光地づくりと、高齢者や障がい者など誰もが楽しめる観光(ユニバーサルツーリズム)の普及促進を念頭に実施するもので、事業を通じて、蔵王地域における上質な滞在環境の創出を促進し、蔵王地域を旅先の選択肢として動機付け、誘客促進につなげていくことを狙いとする」。

 

     ◇   ◇

 

 山形県観光文化スポーツ部観光復活戦略課精神文化・インバウンドプロモーション室室長補佐の遠藤信博氏に今回のファムツアー実施の狙いについて聞いた。

 ――ツアーの目的は。

 「世界が憧れる蔵王を目指して、今までは冬のイメージが強かった蔵王を、四季を通じて楽しめる通年型の観光地として育てていこうという県の『世界の蔵王プロジェクト』の一環だ。今回のファムツアーなどを通じて、受け入れ態勢の課題の洗い出しや改善策の検討等を行っていく。グリーンシーズンのコンテンツ造成、モデルコース開発も実施する」

 ――なぜ蔵王なのか。

 「蔵王(ZAO)が有名な観光リゾート地だと国内外に認識されることが、県全体の観光の底上げにつながるという発想だ」

 「高齢者も障がい者も外国人も、全ての人が全ての季節に楽しめるモデル観光地づくりを目指している」

遠藤氏

 

 
 
 
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