小田急電鉄は14日、箱根地域(神奈川)の観光魅力向上を目指し、総額約35億円の大型投資を実施すると発表した。(1)新型海賊船の建造(2)箱根ロープウェイの駅舎建て替え(3)日帰り温泉施設の拡充(4)箱根登山電車の新型車両導入──が柱で、それぞれの完成時期は来年3月以降となる。「分かりやすい箱根、まわりやすい箱根の実現と、温泉地・箱根の魅力を高め、快適な旅行を提供する」としている。
新型海賊船は箱根観光船が建造。18世紀にフランスで建造された「ロワイヤル・ルイ」をモデルに、船首像や船内外の装飾、船体後部の特徴的な回廊など、往事の雰囲気を再現する。全長35メートル、全幅10メートルの規模で、565人乗り。建造費は約10億円。完成は来年3月を予定。
箱根ロープウェイは約10億円をかけ、大涌谷駅舎を建て替える。地下1階、地上2階建てで、風力発電装置や駅舎内にLED照明を導入するなど、省エネや自然環境の保護に配慮する。2階のレストランは展望スペースを拡充して眺望性を高めるほか、座席数は約100席を確保、混雑の解消に努める。竣工は来年4月下旬。
箱根施設開発は、現在「ひめしゃらの湯」として営業している日帰り温泉施設を大幅に拡充。投資額は約7億円で、来年3月の開業を目指す。
新たな施設は古民家風の里山温泉をイメージした「里山 湯治村」をコンセプトに、最大の特徴である貸切個室露天風呂は「個室の数として首都圏最大級となる19室用意する」と同社。既存の温泉施設も露天風呂の増設や壺風呂、サウナの新設などでテコ入れし、1日ゆったりできる施設とする。
箱根登山鉄道の新型登山電車製造は17年ぶりで、投資額は約8億円。営業運転開始は来年4月を予定している。
単車(3000形、定員約80人)2両を製造し、通常は既存の2000形2両編成に連結して3両編成として運転する。「これにより最繁忙期は全ての列車を3両編成とすることができ、利便性が向上する」という。車内には車いすスペースを確保するほか、外国人観光客も多いことから4カ国語を表示する車内案内表示器を配置する。
新型海賊船のイメージ