「需要喚起策」を多く要望
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)のポストコロナ調査研究委員会(大木正治委員長)は2日、東京の全国旅館会館で今年度第4回の委員会を開き、8月に全旅連組合員宿泊施設を対象に行った経営に関するアンケート調査の結果をまとめた。今年1~6月の売り上げ実績について、コロナ禍前の2019年同期比で7割未満の施設が61.4%と半数超。7、8月の売り上げ予測は7割未満が50.1%とおよそ半数を占めた。政府による宿泊業に対する支援で特に必要なものは、割引支援などの「観光需要喚起策」が最も多かった。
調査は8月15~26日の12日間、全国の組合員施設の代表にウェブで実施。期間中、826軒が回答した。施設の内訳は、旅館483軒、ビジネスホテル204軒、リゾートホテル60軒、シティホテル45軒、簡易宿所34軒。
今年1~6月の売上金額の19年同期との比較は、半分にも満たない「50%未満」が29.3%。「50%以上70%未満」が32.1%。この二つを合わせた7割未満が61.4%と過半数を占めた。以下、「70%以上90%未満」が24.1%、「90%以上100%未満」が5.4%、「100%以上」が9.1%。
一方、今年7、8月の売上金額(予測)の19年同期比は、「50%未満」が21.9%、「50%以上70%未満」が28.2%で、この二つを合わせた7割未満が50.1%と、約半数になった。このほか「70%以上90%未満」が26.0%、「90%以上100%未満」が11.3%、「100%以上」が12.6%。
観光庁の宿泊旅行統計調査などを見ると、今年のこれまでの国内宿泊者数は20年、21年に比べて改善傾向にある。ただ、「現場の声を聞くと、9月以降の予約の状況は芳しくなく、消費者の慎重な姿勢がうかがえる」(同調査)。
1~6月の売り上げ実績を全国10ブロック別に見ると、「50%未満」が最も多いのが東京の57.1%で、半数以上の施設がコロナ前の売り上げの半分にも届いていない。このほか近畿が40.2%、北陸が36.1%、九州が35.5%と高い数値になっている。総部屋数別では、10室未満が39.3%と高い数値だ(5面に表)。
7、8月の売り上げ予測も、「50%未満」はブロック別で東京が35.7%、総部屋数別で10室未満が35.0%と高くなっている(同)。
現在の予約状況を経営上許容できる範囲は、「不明」が49.8%と約半数。「年内いっぱい」が19.2%、「3カ月程度」が11.7%、「来年前半」が10.7%、「来年いっぱい」が8.6%となった。
「今後の政府による宿泊業に対する支援について、特に必要と考えるもの」を、四つの選択肢から選んでもらった。最も多かったのが「観光需要喚起策(割引支援等)」で409軒が回答。以下、「金融支援(特別融資制度や借換特例等)」(187軒)、「インバウンド規制解除」(111軒)、「その他」(104軒)。
「その他」の中には「給付金」「税の軽減」「コロナ感染防止対策の強化、4回目ワクチン接種の早期実施」などがあった。
宿泊業に必要な支援について、回答した理由を自由に記載してもらった。主な内容は次の通り。
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