宿泊施設売上高、3〜5月は3割減に


 東日本大震災、原発事故の発生に伴い、旅館・ホテルの3〜5月の売上高は、前年同期と比べて全国平均で約3割減、東北エリアでは約5割減、関東エリアでは約4割減だったことがこのほど分かった。原発事故の賠償の指針づくりを進めている政府の原子力損害賠償紛争審査会の中で報告された調査結果。中小規模の施設、外国人を主な顧客としている施設ではさらに厳しい状況とみられている。

 調査結果は審査会が任命している観光分野の専門委員が14日の会合に提出した。審査会の資料として活用される。報告に記載された売上高の減少などが、損害賠償の対象と認められたわけではない。風評被害などの原子力損害の賠償範囲に該当するかどうかは、7月末にまとめる中間指針に照らして判断する必要がある。

 旅館・ホテルの売上高の調査結果は、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、全日本シティホテル連盟、日本ホテル協会を通じて実施したアンケート調査に基づく。全国567軒から回答を得て集計した。

 3〜5月の売上高は全国平均で28.2%減だった。月別では3月が32.5%減、4月が31.5%減、5月が21.7%減。震災以降、全国的に売上高が減少し、特に外国人旅行者を主要な顧客としてきた旅館・ホテルで「かつてないほどに大幅な減少」がみられると指摘。また、「回答施設は比較的規模が大きく健全に経営されている旅館・ホテルで、中小規模の状況はさらに厳しい」と推測している。

 エリア別にみると、東北エリアの3〜5月は50.2%減で、月別では3月が59.3%減、4月が56.2%減、5月が36.4%減だった。売上高には、避難者や復旧関係者の利用による売り上げも含まれているため、被災県であっても減少幅が小さかったり、月によっては前年より増加したりした状況もみられる。

 東北エリアに続いて影響が大きいのは関東エリアで3〜5月が38.3%減だった。月別では3月が43.9%減、4月が43.5%減、5月が29.2%減。特に栃木県では3〜5月で58.7%減と落ち込みが目立つ結果となった。

 全国的な売上高減少に対して、原子力損害の賠償範囲がどの程度になるかは、審査会の示す指針が目安になる。5月に決定した第2次指針では、観光分野の風評被害について福島県内の観光業者を賠償の対象範囲として認めたが、福島県外の観光業者については未定。具体的な賠償の判定方法などは今後の指針の中で示される見通しだ。

 
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