熊本市が発表した2017(平成29)年の「観光統計」によると、宿泊客数は276万人にのぼり、前年比9%増だった。観光消費額も同17%増の725億円となり、「いずれも熊本地震発生前(15年)の数値を上回った」(観光政策課)。地震の影響で減少した観光客が戻っていることがうかがえる。
宿泊客増について市は、「前年に引き続き震災復興業務従事者の滞在のほか、国内観光客の回復や外国人客が大幅に増えたため」(同)としている。入り込み数は同9%増の502万人。回復傾向にあるものの、熊本城をはじめとする観光施設で立ち入り規制や復旧工事に伴う休館・休園などが続いており、「地震発生前の水準には戻っていない」という。
顕著だったのが外国人客の動き。入り込み数は同36.7%増の65万6千人、宿泊客は同74.7%増の18万2千人となっている。宿泊客をみると、台湾、中国、香港の合計が10万7千人で、過半数を占めている。
観光政策課は「地震によって知名度が向上、期間経過とともに、マイナスイメージから観光地『KUMAMOTO』として認識されたことや、熊本空港では国際線の路線数が地震発生前の体制に回復するなど、訪れやすい環境が整ってきたことが要因として考えられる」としている。
コンベンションの開催件数も増え、17年は322件と近年で最も高い水準となった。しかし、参加者は大型施設の使用不可期間の長期化などもあり、11万人に届かず、震災前の水準には達しなかった。