宿泊団体、新型インフルで観議連に陳情


3団体の要望書を読みあげる全旅連の佐藤会長(左)=党本部で

3団体の要望書を読みあげる全旅連の佐藤会長(左)=党本部で

 旅館3団体(全国旅館生活衛生同業組合連合会、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟)と日本ホテル協会は5月27日、自民党観光産業振興議員連盟の役員会に出席し、新型インフルエンザの発生で宿泊キャンセルなど厳しい経営環境が続く旅館・ホテルを救済するための9項目(3団体5項目、ホテル協会4項目)からなる要望書を観議連の細田博之会長らに提出した。細田会長は、要望を着実に遂行するよう出席した関係省庁の代表に求めた上、インフルエンザ発生の鎮静化を受けて、「観光旅行安全宣言」を観光庁が中心となり発動するよう求めた。観光庁の本保芳明長官は「政府の中で調整し、最大限努力する」と前向きな姿勢を見せた。

 旅館・ホテル団体から、全旅連の佐藤信幸会長が3団体の要望事項を読み上げるとともに、国観連の西村肇副会長と針谷了理事が、近畿地方を中心とした旅館・ホテルの窮状を訴えた。西村副会長は「実態は相当厳しく、倒産寸前の施設がたくさんある。地域の伝統がインフルエンザで音を立てて崩れようとしている。先生方の力でこれ以上悪化することのないようお願いしたい」と述べた。

 内閣官房、厚生労働省、観光庁、経済産業省、中小企業庁、金融庁、文部科学省の関係省庁は、新型インフルエンザ対策の現状を説明した。厚生労働省健康局生活衛生課の松岡正樹課長は、旅館・ホテル業界が要望する緊急融資について、日本政策金融公庫による衛生環境激変特別貸付制度の適用を検討するなど対策を進めていると述べた。

 観光庁の本保長官は、新型インフルエンザによる宿泊キャンセルが発生した場合のキャンセル料の取り扱いに言及。「(旅行業者が顧客から)キャンセル料をもらいながら、宿泊業者には支払いがないケースがあると指摘を受けている。そういう事例があれば、私どもに知らせていただきたい。こう申し上げることによる抑止効果も期待している」と述べた。

 海外の複数の国・地域で、政府主導で日本への旅行を自粛している例が見られることについては「(日本の)現状を的確に理解していただき、政府の指導を撤回していただくよう、外交ルートを通じてお願いしている」と述べた。

 観議連の細田会長は「観光庁長官名で、観光旅行は大丈夫と宣言をしてほしい。いい表現で、修学旅行を含めて、人の移動を抑制する必要はないと、宣言してほしい」と「観光旅行安全宣言」の発動を要望。他の役員も、「そろそろ大丈夫と思いながらも、お墨付きがほしいというのが観光に限らず地元の中小企業の切なる思いだ」として、細田会長の意見に同調した。観光庁の本保長官は「政府の中で調整が必要だが、最大限努力する。いい文章になるよう、工夫したい」と述べた。

【旅館3団体の要望】
 緊急且つ特別の条件による融資策を検討してください▽新型インフルエンザによる宿泊キャンセルについては、約款どおりに支払うよう指導してください▽今般の新型インフルエンザに対して政府の基本的対処方針を上回るような過剰な反応をしないよう、自治体並びに各種団体へ指導してください▽感染者数の発表の際には、現在治療中の方の数と完治した方の数を分けて伝えてください▽新型インフルエンザを特定感染症として認めてください

【日本ホテル協会の要望】
 新型インフルエンザ(H1N1)に係る特別融資の創設▽雇用調整助成金の適用範囲の拡大及び支給要件の緩和▽新型インフルエンザ(H1N1)を政府の特別支援によって、保険会社の「営業補償」の対象とする制度の創設▽政府による国内旅行の安全宣言と海外への日本の安全宣言

3団体の要望書を読みあげる全旅連の佐藤会長(左)=党本部で
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