宿泊キャンセル、全国に拡大


 東日本大震災や原発事故を受け、宿泊のキャンセルが被災地にとどまらず、全国に広がっている。キャンセル数は集計分だけで、静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合の会員で40万人超、国際観光旅館連盟北海道支部の会員で26万人超などに上る。全国のキャンセル数は外国人旅行者を含めて相当数に上り、新規予約も進まない状況にある。旅行の自粛ムードや外国人の渡航自粛が、観光産業に大きな打撃となっている。

 多くの観光地や温泉地を持つ静岡県。県旅組(会員854軒)によると、地震発生の3月11日以降、3月22日までの宿泊予約に対するキャンセル数は回答があった施設だけで40万1265人に達している。事務局では「集計期間以降のキャンセルはさらに大きな数字になる。新規客の予約も厳しい」としている。

 北海道でもキャンセルが広がる。国観連北海道支部の3月28日の集計では、回答があった69軒分だけで6月末までのキャンセルは26万1579人。内訳をみると、道内客だけで11万5692人に達する。道外客も6万6850人。近年、中国人客が急増してきたが、海外客のキャンセルも7万9037人に上る。

 影響は九州の温泉地にも。大分県の別府市旅館ホテル組合連合会(会員110軒)の集計でも、3月28日までのキャンセル数が約2万5千人。このうち韓国を中心とする海外分が約1万人に達する。事務局では「外国人の減少に加え、日本人の旅行や宴会への過剰な自粛が影響」と指摘。ただ、県内客のゴールデンウイークの予約には自粛ムード緩和の兆しも感じられるという。

停電や金融で対策を要望 静岡県旅組
 旅行の自粛ムードに加え、計画停電の影響も旅館・ホテルの経営を苦境に立たせている。静岡県ホテル旅館生活衛生同業組合(萩原勲理事長)はこのほど、県に対して対策を求める要望書を提出した。計画停電については、全面的に協力すると表明しながらも、長期的な計画の提示などを求めた。

 静岡県旅組は電力の安定供給に関して、計画停電など今の状況が長引けば観光産業は立ち行かないとして、「早急に電力の安定供給ができるよう、また、計画停電については1カ月程度以上の長期計画を示すように国、東京電力に働きかけてほしい」と要望した。

 要望書ではこのほか、従業員雇用の安定確保に関して、予約客のキャンセル、新規予約の減少を受けて「従業員の給料を支払えない状態に陥り、解雇せざるを得ない状況」として、一時解雇への失業保険給付の特例や中小企業緊急雇用安定助成金の規制緩和を求めた。

 緊急融資、既往債務の返済猶予に関するさらなる支援策、固定資産税などの納付延期なども求めている。

 
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