政府は15日、サービス業や中小企業などの生産性向上を目指す「生産性向上国民運動推進協議会」を首相官邸で開いた。対象分野の一つ、宿泊業からは、日本旅館協会の針谷了会長が出席し、観光庁事業として全国で実施された「カイゼン活動」セミナーの成果などを発表した。
同協議会は昨年5月に発足。対象分野は飲食、宿泊、道路貨物運送、介護、小売の5業種だったが、今回から建設、医療、生活衛生、学習支援、農業の5業種が追加された。
安倍晋三首相は「現在の日本経済にとって、人手不足を解消し、生産性を高め、潜在成長率を引き上げていくことが最大の課題。人手不足の解決にはさまざまな対策を多面的に進めていくが、基本は生産性の向上だ。生産性向上の鍵は人づくり。人づくり革命を力強く進めることは一人一人の人材の質を高め、潜在成長率を引き上げていくことにもつながっていく」と述べ、官民を挙げた生産性向上への取り組みに意欲を示した。
対象10分野の業界団体が生産性向上への活動を発表。日本旅館協会の針谷会長は、協会が要望して観光庁で事業化されたカイゼン活動に関する全国10カ所でのセミナー、全国5カ所の旅館・ホテルで実施された生産性向上ワークショップの成果などを説明した。IT化や機械化による負担軽減、従業員によるカイゼン活動の活発化などを報告した。
政府は、中小企業の生産性向上を促す新たな支援態勢についても発表した。経済産業省を事務局とする「中小サービス等生産性戦略プラットフォーム」が16日に発足。IT化への補助金による直接支援に加え、生産性向上に関する情報や成功事例の共有などを全国規模で推進する。