観光庁と大学が主催する「観光教育に関する学長・学部長等会議」が13日、東京都文京区の東洋大学で開かれた=写真。主催大学を持ち回りにして、2009年から毎年開催している会議。観光系の学部、学科などを持つ51大学から学長や学部長など約80人が出席したほか、観光関係団体の担当者も参加。教育プログラムなどに関する情報を交換し、人材育成への課題を共有した。
今年度の主催大学である東洋大の竹村牧男学長は、「観光教育には経営マネジメント能力を備えた人材の育成、訪日外国人3千万人時代を見据えた留学生を含む多様な人材の確保など多くの課題がある。グローバル化などを踏まえながら、日本の観光学の発展にさらに努めていきたい」とあいさつした。
教育プログラムに関する報告では、東洋大学の飯嶋好彦・国際地域学研究科国際観光学専攻主任教授が、社会人の大学院への受け入れ促進について、「観光学は社会人としての経験が生きる学際的、臨床的な学問であり、現場に出た後に大学院で学ぶことは好ましい。その時に求められるのはMBA(経営学修士)コース的な内容」と指摘した。
MBAコースを持つ一橋大学の山内弘隆・大学院商学研究科教授は、MBAコースに開設しているホスピタリティ・マネジメントプログラムについて紹介。学生の半分が大学新卒者、残り半分が社会人経験者と企業からの派遣者という。観光産業をリードする経営幹部候補や地域経営を担うリーダー候補の育成が目的。プログラムは09年度からの新しい試みで、JR東日本、JTBの協力で運営している。
このほか、山口大学経済学部観光政策学科、城西国際大学観光学部ウェルネスツーリズム学科から、企業や地域と連携した実践的な教育プログラムなどが紹介された。
パネルディスカッションでは、帝京平成大学の細村省三副学長、山形大学の飯塚博・大学院理工学研究科長、首都大学東京の本保芳明・都市環境科学研究科観光科学域教授らが参加し、「都市の大学・地方の大学それぞれの特色と役割」をテーマに意見交換した。