日本観光振興協会は2月28日、東京・丸の内の東商ホールで「産学連携オープンセミナー」を開催した。約280人の参加者の中にはリクルートスーツに身を固めた大学生の姿も見られ、就職先としての観光業界に関心の高さをうかがわせた。
日本学生観光連盟が共催し、観光庁、文部科学省、経団連、日商などが後援した。第10回の節目となる。主催者を代表してあいさつした日観振の舩山龍二副会長は、ツーリズム産業の現況や取り巻く環境を説明した上で「富士山の世界遺産登録や2020年の東京五輪・パラリンピックの開催決定など、ツーリズムはベクトルが上がってきた」と述べた。
来賓の石原大・観光庁観光産業課長は「観光立国実現の鍵の一つは人であり、(外国人旅行者が)人との触れ合いで日本にいい印象を持ってもらい、また来てもらうことが大事だ。観光の力を信じて頑張ってほしい」とエールを送り、学観連代表の林日奈子さんは「現在約500人の学生が参加しており、観光業界と学生をつなぐ役割を果たしている」と組織の充実ぶりを強調した。
第1部は学生による観光振興に関する研究発表会で、予選会などを勝ち抜いてきた優秀賞校4校(一橋大大学院、富士常葉大、奈良県立大、学観連)が成果を披露した。
「東京五輪2020をインバウンド誘致につなげるために日本が取り組むべきこと」をテーマに掲げた一橋大大学院は、ツアーガイドを主人公にしたインバウンドドラマの制作や留学生との交流の必要性を提案。
審査の結果、最優秀賞は「着地型観光と歴史ガイドツアー〜あすか歴史探検隊〜」を発表した奈良県立大が受賞した。
第2部のパネルディスカッションには坂本友理・JTB首都圏執行役員、定保英弥・帝国ホテル社長、中村好明・ジャパンインバウンドソリューションズ社長、柵木鬼美夫・帝京大教授が出席し、「ツーリズムの最先端〜今後のツーリズムの行方〜」をテーマに意見を述べた。
研究成果を発表する学生