夜間、早朝を生かす 新たな観光市場創出で消費拡大へ

  • 2021年3月26日

モデル事業の成果報告会(オンライン開催の画面)

 ナイトタイムエコノミーなど、夜間、早朝の時間帯を活用して新たな観光市場を創出する観光庁のモデル事業の成果報告会が4日、オンラインで開催された。事業の対象に選定された31地域が外部の有識者のアドバイスを受けながら、地域の自然、文化などを生かした新たな観光コンテンツを造成。アフター・コロナを見据え、長期滞在や旅行消費額の増加につながる取り組みを探った。成果報告会の中から五つの事業を紹介する。


モデル事業の成果報告会(オンライン開催の画面

 

棚田・棚池ライトアップ ■新潟県長岡市の山古志

長岡観光コンベンション協会(新潟県長岡市)=「日本農業遺産山古志の棚田・棚池ライトアップと山花火」

 ニシキゴイ発祥の地といわれる山古志は、秋のニシキゴイの品評会には世界から多くのバイヤーが訪れるが、にぎわいは続かない。滞在や消費の拡大を目標に、日本農業遺産に認定されている棚田、棚池の景観を生かしたライトアップ、花火という夜間のコンテンツ開発に取り組んだ。

 昨年10~11月にライトアップや花火のイベントを開催。新型コロナウイルス感染症の影響で、来場者を新潟県内在住者に限定した。インバウンド向けの企画だったが、県内客にも好評だった。SNSを活用したプロモーションでは、若年層にアプローチできた。

 長岡観光コンベンション協会事務局次長兼業務課長の大宮茂樹氏は「山水を張った棚田、棚池に花火が映る景観はオンリーワンの水鏡だ。今回は県内客限定だったが、今後は全国に発信したい。宿泊との連動商品など地域にお金が落ちる仕組みも検討する」と述べた。

 

「妖怪のまち」でハロウィン ■広島県三次市

みよし観光まちづくり機構(広島県三次市)=「日本妖怪博物館ナイトミュージアムと『もののけハロウィンin三次』」

 三次市は、妖怪や怪異の話をまとめた江戸時代から伝わる民話「稲生物怪録」の舞台で、「妖怪のまち」として知られる。2019年には「三次もののけミュージアム」もオープンした。妖怪をテーマに夜間のコンテンツを造成し、日本のアニメのファンが多い台湾からの誘客につなげる。

 コロナ禍のため、国内客向けのイベントとして、「もののけハロウィンin三次」を昨年10月に開催した。妖怪コスプレコンテストの開催やミュージアムの夜間開放、妖怪バーの出店などで、広島県のコロナ対策ガイドラインに基づく参加者数の上限いっぱいとなる約3200人を2日間で集客した。

 みよし観光まちづくり機構専務理事の永江博之氏は「収益の拡大などについては課題があるが、妖怪のまちをPRして、もののけハロウィンなど、宿泊を伴う夜間、早朝のコンテンツへの取り組みを継続していきたい」と述べた。

 

山伏体験を海外富裕層に ■奈良県天川村の大峯山

大峯山洞川温泉観光協会(奈良県天川村)=「修験道を主にした洞川温泉街の早朝時間活用事業」

 世界遺産「熊野古道と紀伊山地」の一部である大峯山を観光資源として、その価値を見直し、1300年の歴史がある山伏修行の聖地に泊まり、山に登るツアーを造成。他にない体験価値を提供し、高単価のコンテンツとして、外国人富裕層の誘客を目指していく。

 昨年10月にインバウンドを取り扱う旅行会社の担当者を対象にモニターツアーを実施。参加者から高い評価を得るなど、修験道が持つ観光コンテンツとしての潜在的な可能性の大きさを確認した。他方で情報発信力の弱さも表面化し、修験道のランディングページを作成するなど観光サイトを変更したほか、SNSの活用を強化した。

 天川村地域政策課の堀川秀博氏は「プロモーションではSNSの運用を地域おこし協力隊に任せ、活用を強化したところ、フォロワーを増やすことができた。ほんものの観光資源の価値に気付くことができたので、コロナ収束後に向け、関係者の意識を底上げしていきたい」。

 

文化財の芝居小屋でディナー ■熊本県山鹿市

熊本県北サスティナブル・ツーリズム協議会(熊本県山鹿市)=「『重要文化財・温泉地×地域の食体験』におけるナイトタイムエコノミー創出事業」

 国指定の重要文化財の芝居小屋「八千代座」で、演舞鑑賞と貸し切りプレミアムディナーが楽しめるモニターツアーを昨年11、12月に実施した。文化財での飲食イベントへの活用に理解を得て実現。参加者からの評価も高く、海外富裕層向けの高単価コンテンツとして手応えをつかんだ。

 また、平山温泉の魅力の一つ、各旅館にある貸し切りの家族風呂の体験価値を向上させるため、昨年11月、入浴前後に地酒や地元のグルメを楽しむ飲食イベント「夜市バー」を開催した。ウェブサイトで情報発信し、地域全体への回遊、地域での消費を促進した。

 熊本県北サスティナブル・ツーリズム協議会副会長(平山温泉観光協会副会長、山懐の宿一木一草副社長)の吉川哲也氏は「八千代座でのディナーも、平山温泉での夜市バーも、地元の皆さんからは反対されるかと思ったが、前向きな協力を得て共につくり上げることができた。地域における新しい切り口の場づくりになった」と述べた。

 

サーカス・伝統文化の融合ショー ■高松市の栗林公園

ヌーヴォー・シルク・ジャポン推進協議会(高松市)=「ヌーヴォー・シルク・ジャポンinお庭の国宝栗林公園」

 国の特別名勝、栗林公園の秋のライトアップに合わせ、訪日外国人をターゲットにした夜間のコンテンツの開発を目指した。園内の商工奨励館を舞台にシルク・ドゥ・ソレイユの元団員と太鼓芸能集団「鼓童」を招へいし、サーカスと伝統芸能を融合させたショーを開催した。

 ショーは昨年11月21~25日の5日間に開催し、コロナ禍の中、8公演780席のチケットを販売。栗林公園と一流のショーの組み合わせは好評だった。今後の継続的な開催に向けては、広域連携DMOの四国ツーリズム創造機構と連携し、四国4県での巡業を視野に入れて検討していく。

 事業を主導したJTB高松支店営業第二課課長兼観光開発プロデューサーの高島達朗氏は「地元のプレーヤー、行政、DMOなどの連携で、コンテンツの魅力を最大化できた。2022年の瀬戸内国際芸術祭と連携できるようコンテンツを整備し、外国人旅行者にも魅力を届けていきたい」と述べた。

 
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