外国人就労、宿泊業に5年で2.2万人 新在留資格「特定技能」、4月に試験開始

  • 2019年1月15日

 宿泊業は、外国人材の就労拡大に向けて創設された新たな在留資格「特定技能」の活用で、2019年度からの5年間で最大2万2千人の外国人の雇用が可能になる。改正出入国管理法の成立に伴い、政府が18年12月25日に閣議決定した基本方針などに盛り込まれた。19年4月に初回の実施が予定されている外国人向けの「宿泊業技能測定試験」(仮称)を経て受け入れが始まる。

 新たな在留資格「特定技能」は、深刻化する産業界の人手不足に対応するために創設。このうち「特定技能1号」は、家族の帯同は認められないが、在留期間は最長5年。「相当程度の知識または経験を要する技能」と一定の日本語能力を持つ外国人が対象となる。

 政府は12月25日に制度運用に関する基本方針を閣議決定した。人材確保が困難な分野に限られる受け入れ業種には、宿泊業を含む14業種が定められた。業種ごとの受け入れ見込み数などを示した分野別運用方針も同日に閣議決定された。

 宿泊業の特定技能1号の受け入れは、旅館業法の旅館・ホテル営業の許可を受けた施設が対象。フルタイムの直接雇用、日本人と同等以上の報酬などが要件。対象業務はフロント、企画・広報、接客、レストランサービスなど。これら業務に従事する日本人が通常行う関連業務(館内販売、館内備品の点検・交換など)に付随的に従事することは問題がない。同じ業種の同様の業務であれば転職も認められる。

 宿泊業の今後5年間の受け入れ人数の上限は2万2千人。現在の旅館・ホテルの就業者数は日本人、外国人を合わせて約57万人と宿泊業団体では試算しているが、政府の分野別運用方針では、現時点ですでに約3万人の人手不足が生じ、さらに訪日外国人旅行者の増加などに伴い5年後までに10万人程度の人手が不足すると推計。ここから生産性向上と国内人材の確保による解消分などを差し引いて受け入れ人数の上限が設定された。

 経済・雇用情勢の変化に伴う受け入れの停止措置なども定められている。宿泊業を所管する国土交通相は、有効求人倍率などの指標を踏まえ、人手不足の状況に変化が起きた時には受け入れ停止を法務相に求める。大都市など特定地域への過度な就労の集中も、関係省庁や業界団体が連携して防止に努める。

 宿泊業で特定技能1号の在留資格を取得するために必要な宿泊業技能測定試験は、日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟が共同で設立した「一般社団法人宿泊業技能試験センター」が実施する。今後、筆記試験と実技試験が策定される。日本語能力は指定の試験で判定する。

 宿泊業技能測定試験は、国外、国内でそれぞれ年2回程度実施される。初回の試験は19年4月に実施予定で、留学生などを対象として国内で実施されるとみられる。宿泊業団体では今後、制度の趣旨や外国人材の受け入れ手順などを会員施設に周知していく。

 在留外国人の増加を踏まえて、政府は12月25日、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を閣僚会議で決定した。各種相談窓口の設置などを通じて在留外国人の生活、就労を支援する。自治体の態勢整備などを含めて必要な経費を当初予算案に計上した。

宿泊業界、技能実習も活用へ

 宿泊業界は、改正出入国管理法に基づいて創設された新たな在留資格「特定技能」の活用によって、今後5年間で最大2万2千人の外国人材の雇用が可能になる。

 宿泊業への外国人の就労はこれまで、留学生のアルバイトなどを除けば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの活用による高度な専門人材として、原則的に通訳などの専門的・技術的分野の業務に限られてきた。

 これに対して「特定技能」は、在留期間は最長5年だが、指定の試験に合格した外国人であれば、従事できる業務の幅が広い。現場の即戦力として雇用環境が厳しい地方などの旅館・ホテルの人手不足対策になると期待される。

 宿泊業界ではこれらの制度とは別に、最長5年の在留が可能な技能実習法に基づく技能実習制度の活用も準備している。「技能実習2号」移行対象職種に宿泊業を追加する手続きを国に対し宿泊業団体が連携して進めており、2019年度には認定される見通しだ。

 ただし、技能実習制度の目的は人手不足対策ではなく、開発途上国などの外国人が日本で働いて技能を習得する国際協力。安価な労働力として利用されてきた側面が問題視されているので認識が必要だ。受け入れ事業者は、許可を受けた監理団体の実習監理を受ける必要性があるなど制度の仕組みも異なる。

 一方で技能実習制度の「技能実習2号」(技能実習1号を含めて通算3年の実習)の修了者は、新たな在留資格「特定技能1号」を試験なしで取得できる。受け入れ旅館・ホテルは、各制度の趣旨を理解した上で外国人材の活用を検討する必要がある。

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