外務省はこのほど、医療と観光を連動させた訪日外国人の誘致促進に向け、2011年1月から医療滞在査証(ビザ)の運用を開始すると発表した。外国人富裕層が治療、検診などの各種医療サービスを長期滞在しながら受けられる。最大で6カ月続けて滞在でき、家族や付き添い人の同伴も可能になった。ただ、身元保証は登録した旅行会社などが行う必要があり、観光庁では1月初旬に要件を公表、登録の受け付けを始める予定。
これまでも短期滞在ビザなどの取得者に各種医療サービスを提供することは可能だったが、医療滞在ビザの制度化で、滞在期間、渡航回数、同伴者などの面で活用の幅が広がった。1年間は試行期間として問題があれば見直す。
発給対象は、一定の経済力を持つ外国人。高度医療、人間ドッグ、健康診断、歯科治療、療養、温泉湯治などに適用される。滞在期間6カ月のビザが発給されるのは、入院して医療を受けるための期間が90日を超えるのが条件。
数次ビザとして、1回の滞在期間が90日間以内の場合は必要に応じ、最大3年の有効期間内に何回でも来日できるようにした。また、同伴者についても、本人との親戚関係は問わないという。
医療滞在ビザ取得者の身元保証は、旅行会社などが行う。観光庁によると、近く発表される要件では、医療滞在や医療観光の受け入れに実績がある旅行会社や医療コーディネーターなどを対象にする。帰国確認業務や失踪者を出した場合のペナルティ制度も設けられる見通しだ。
旅行会社などは、医療滞在ビザの適用範囲を活用しなければ、これまで通りに短期滞在ビザを取得した外国人の医療観光を受け入れていくこともできる。新規参入する旅行会社などは従来の制度を活用して実績を積むことで登録できるようになる。