夏休みの国内旅行、昨年よりも客足上向く 本社調べ


今年の夏は国内旅行に出かける人も多そうだ(JR上野駅で)

今年の夏は国内旅行に出かける人も多そうだ(JR上野駅で)

 厚生労働省がまとめた企業の夏休み予定調査によると、今年の通算日数は平均8.2日、昨年より0.4日長くなる。また、電通リサーチの調査では、夏休みの過ごし方は「国内旅行」が2年連続トップに。身近な施設や行楽地に出かける人が増えているのが今年の傾向とか。大雨や地震などの影響が心配だが、旅行会社や各観光地の感触を探った。

旅行会社
 JTBによると、夏休み期間(7月15日〜8月31日)の宿泊旅行は好況感やボーナス増で旅行意欲も高まり、国内旅行人数は前年比100・9%の7480万人と予測。沖縄の人気は変わらず。

 家族旅行の主流は車で行ける近場の宿泊。「今年は海周辺、プール付きの施設に人気が集中している」という。宿泊施設では、館内施設の利用割引や部屋食以外の食事選択など家族向けサービスを盛り込んでおり、これらが好評だ。

 KNTの国内ブランド「メイト」の7〜9月の予約状況は、人員ベースで前年比106%、売り上げは110%となっている。自由に組み立てられる個人旅行商品、メイト「マルコポーロ」を見ると、人員ベースでは北海道(115%)、九州(121%)、沖縄(112%)方面が好調。エスコートでも九州(160%)、沖縄(150%)方面の伸びが高い。

 今年はボーナスの増額を見越して早めの申し込みが多く、出足はいい。「九州の好調さは宮崎に触発された部分もあるかもしれない。また、夏休みはエアを利用した遠距離商品が売れるが、JR利用の東北が好調なことは例年と異なるケース。酷暑と言われるため、涼を求めて需要が伸びている可能性もある」と同社では見ている。

 「7月は87%、8月が98%、9月が114%」というのは日本旅行。9月以外は前年を下回っているが、海外に比べるとまだ好調とか。中四国(107%)、首都圏(114%)の伸びが高い。売れ筋は「ファミパック沖縄・北海道」「JRのぞみで行く岡山」など。

 阪急交通社は早めの販売が奏功し、7月13日〜8月31日の予約状況は国内が人員ベースで145%、海外が110%に。「特に北海道、東北が好調だが、これからまだまだ伸びる。今年は夏休みファミリー商品を強化、コース数も増やした」と今後に期待する。

 「7〜9月は前年比104〜105%といったところだが、9月は3連休効果もあって出足はいい」とクラブツーリズム。東北祭りや石見銀山など「体験型もしくは話題性のあるものへのニーズが高まってきている」という。その他高額商品や個人型企画なども伸びている。

 JALセールスによると、7〜9月の予約状況は募集型企画旅行全体でやや前年割れ。昨年と比べると、北陸、四国を除き、7月はやや不調という。半面、9月は東北、関東、奄美、沖縄を中心に好調。

 ANAセールスの状況は7月98%、8月114%、9月129%。方面別では沖縄(118%)や九州(112%)、北海道(106%)などが好調。「ピークはお盆。旅行代金が安くなる8月最終週も予約が多い。旅行期間は例年並みだが、沖縄の離島滞在では長期化の傾向が出ている」。

 「沖縄は順調、北海道は今ひとつだが、これからに期待」というのは電鉄系旅行会社。インターネットを通して宿泊予約をする傾向が強まっており、「以前にも増して先行きが読みづらい」とか。全般的に販売状況は昨年より明るい感じだ。

温泉・観光地
 北海道の洞爺湖温泉観光協会は7月21日から8月20日まで温泉街で「洞爺湖温泉夏祭り」を開くが、これに合わせ宿泊客が増えてくると見る。

 岩手県の鶯宿温泉観光協会によると、3カ月前から予約が入り始め、お盆の時期は満室の状態だが、民宿などではまだ余裕がある。お盆以外では8月3、4、5日が混雑している。

 「予約状況は平年並みだが、お盆はすでに満室状態」というのは山形県のあつみ観光協会。その他の時期も堅調に推移。

 栃木県の鬼怒川・川治温泉観光協会は「例年並みだが、間際化により実際の状況はまだつかみ切れていない」。ピークはお盆の時期だが、8月19日ごろまでは混雑しているという。

 群馬県の草津温泉旅館協同組合は「8月13〜15日のお盆にかけて、宿泊予約が集中する」と見込んでいる。客足は例年並みだと予測するが、選挙もあり昨年と比べやや問い合わせが少ない。8月20日には大相撲夏巡業草津場所が開かれることもあって、期待は大きい。

 兵庫県の城崎温泉。旅館協同組合によると「年々予約の出足は遅くなり、間際まで動向は読みづらい。消費者は直前まで様々な旅行プランを検討する。お盆でも予約が入り出すのは8月から。夏休み期間は、週2回実施する花火大会に合わせた予約も多い」。

 香川県の琴平町観光商工課では6月の観光客入り込み数が前年比7.8%増の26万2千人に達するなど好調なことから、京阪神地区を中心に夏季シーズンの入り込みにも期待。「宣伝などによるメディアへの露出効果もあり金刀比羅宮には中高年だけでなく、若者客も増えている」という。

 熊本県の黒川温泉観光旅館協同組合では「昨年とほぼ同じで、お盆、週末を中心に空き室は少ない状況」という。21年前にスタートした入湯手形が8月中旬までには200万枚に達する見通しで、キャンペーンを展開中。ゴールデンウイーク以降も昨年並みの実績で推移しており、台風などの影響がなければ、大きな落ち込みはないと見る。

 東国原英夫知事の就任以来、話題をさらっている宮崎県。県庁見学者数は10日までに4万人を突破した。宮崎市内の旅館・ホテル20軒の2〜4月の宿泊数は前年比6.9%増と好調、5月も1.4%増だった。県観光・リゾート課は「話題だけでなく、宿泊をはじめ、観光や物産への波及効果は大きいはず。県庁見学ツアーへの問い合わせは依然多く、夏休み期間の入り込みにも期待している」。

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