地域限定通訳ガイド、岩手など4県の合格者は84人に


 通訳案内士法などの改正を受けて、今年度、岩手、静岡、長崎、沖縄の4県で初めて実施された地域限定通訳案内士(通訳ガイド)試験の合格発表が今月8日までにすべての県で終わった。4県の合格者数は、英語、中国語、韓国語の合計で延べ84人だった。外国人観光客の受け入れ態勢を充実させるには、通訳ガイドは依然不足しており、4県では来年度以降も制度の周知に努め、継続的に育成に取り組む。来年度に関しては、北海道と栃木県が地域限定の試験実施を検討している。

 地域限定通訳ガイドは、国家資格、通訳ガイドの“都道府県版”。活動は、受験した都道府県の区域内に制限されるが、試験内容の一部も地域に関連した問題に限られる。06年4月の法改正による規制緩和で、国の同意を得て外客来訪促進計画を変更すれば、都道府県が試験を実施できるようになった。

 4県合計の合格者数を外国語別にみると、英語57人、中国語21人、韓国語6人。合格率は英語11.4%、中国語11.4%、韓国語7.1%だった。合格者のうち、都道府県に登録した者が報酬を得て通訳ガイドとして営業できる。

 岩手県では、平泉の中尊寺などの世界遺産登録が今年9月にも見込まれるが“全国版”の通訳ガイドの登録者は1日現在15人で、実際に活動しているのはその半数程度という。ボランティアの活動もあるが、増加が予想される外国人客の受け入れには、通訳ガイドの増員が課題になっている。

 同県の今年度の地域限定の合格者数は、英語16人(受験者数97人)、中国語4人(同24人)、韓国語0人(同16人)。

 「初年度として受験者数はまずまず。継続的に資格者を育成していきたい。数を増やすだけでなく、旅行者や旅行会社に制度を周知し、通訳ガイドを利用してもらえるような環境を整える必要がある」(商工労働観光部地域産業課)。

 静岡県は、富士山静岡空港の来年3月の開港で見込まれる外国人客の増加への対応が課題。合格者数は、英語17人(受験者数177人)、中国語7人(同55人)、韓国語0人(同23人)だった。

 長崎県の合格者数は、英語8人(同92人)、中国語2人(同25人)、韓国語3人(同18人)。

 沖縄県は、英語16人(同133人)、中国語8人(同80人)、韓国語3人(同27人)の結果だった。

 長崎県観光振興推進本部は「韓国や台湾からの旅行者が多い県内の実情に対し、韓国語、中国語の資格者が少ない」と課題に挙げる。全国版の資格でも同様の傾向があるものの、各県ともに英語に比べ、中国語、韓国語の合格者は少なかった。

 北海道、栃木県は、来年度の地域限定通訳ガイドの試験実施に向けて準備を進めている。現在の通訳ガイドの登録者数は、北海道172人、栃木県53人。北海道観光のくにづくり推進局では「北海道洞爺湖サミット後の国際観光の振興に向けて通訳ガイドを育成したい」としている。

 
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