國學院大学は11月26日、東京の同大学渋谷キャンパスで「観光まちづくりフォーラム」を開いた。2022年に予定される「観光学部観光まちづくり学科」(仮称)の開設に先駆けて、新しい学部、学科の教育方針を説明したほか、全国各地の観光によるまちづくり事例を紹介した。
同大学6番目の学部となる観光学部の観光まちづくり学科は、教育方針に「日本各地の歴史、文化、自然をみつめ、観光を基軸に持続可能な『まちづくり』を考え、多様な側面から地域に貢献できる人材を育てる」を掲げる。「文系、理系の垣根を超え、地域を支える学問を理論と実践の両面から、分野横断的に学ぶ」という。
観光まちづくりについて、研究者らが各地に提言する「地域マネジメント研究センター」(仮称)の設置も予定している。
新学部、学科の設置構想について、同大学の針本正行学長、西村幸夫・新学部設置準備室長・教授が説明。国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所代表で、観光庁初代長官の本保芳明氏が、新しい学部、学科に期待を寄せるとのあいさつを述べた。
全国各地で観光によるまちづくりに取り組む4氏が参加してのシンポジウムも行った。NARAYA CAFE(神奈川県箱根町)代表の安藤義和氏は、実家の奈良屋旅館(箱根宮ノ下温泉)が閉業ののち、旅館時代の温泉と施設を生かした足湯カフェや雑貨店を開業。尾道空き家再生プロジェクト(広島県尾道市)代表理事の豊田雅子氏は、故郷の尾道で増えている空き家を再生するため、大家と借り手を仲介するマッチング事業を展開。空き家を個性豊かな店舗に生まれ変わらせている。
米国ジョージア州出身で白馬インターナショナル・ビジネス・アソシエーション(長野県白馬村)代表のイアン・ミラー氏は、趣味のスノーボードを縁に白馬に移住し、ホテル経営などさまざまな事業を展開。「世界水準の観光地・白馬」の実現に向けて活動している。地域連携DMO、Clan PEONY(クランピオニー)津軽(青森県)スタッフの渡邊一樹氏は、弘前市など津軽圏域14市町村の観光振興へ、地域の魅力発掘、磨き上げに取り組んでいる。
進行役を務めた同大学新学部設置準備室・教授の楓千里氏は「観光まちづくりは一朝一夕では成り立たない。その足跡と今後の方向性の研究がわれわれのテーマの一つだ。共に議論できる学生を育てていきたい」と述べた。
4氏らによるシンポジウム