国際女将会 令和6年度総会開く 八芳園社長「旧来モデルから脱却を」


八芳園の井上社長

 日本旅館国際女将会(長坂正惠会長)は6月27日、令和6年度総会を東京都港区の八芳園で開いた。議事終了後の勉強会では、八芳園の井上義則社長が「八芳園の資産をどのようにビジネスに活かしているか」と題して講演。1943年(昭和18年)に広大な日本庭園を生かした料亭として開業し、昭和30年代に婚礼事業を開始。現在は、従来の婚礼事業、宴会事業、飲食事業にMICE事業も加えた「総合プロデュース企業」として事業展開している同社の戦略などを話した。

 井上社長は、「八芳園の三大資産は『理念』『組織』『文化資本』」と紹介。「日本のお客さまには心のふるさと。海外のお客さまには日本の文化を提供している」とした。

 土曜日・日曜日のブライダルに依存する“一本足打法”の経営から、総合プロデュース企業として「ウェディングプロデュース(ロケーションフォト、ライフイベントプロデュース)」「料亭・レストラン」「フードビジネス(プライベートブランドの開発、ミールキット開発、配送フード開発)」「イベントプロデュース(MICE、コーポレートイベント、ビジネスイベント)」「コンテンツプロデュース(ホストタウン活動サポート、地方自治体連携協定による課題解決支援と『食』の開発)」「空間デザイン(空間デザインと監修、循環型建築素材開発)」「DX推進ビジネス(DXコンサルティング、システムソリューション開発、配信プラットフォーム開発、オンライン配スタジオ運営)」を手がける企業への転換を指揮してきた井上社長は、旧来型のビジネスモデルから脱却できない企業の問題点について次のように指摘した。「これまで、うまくかみ合っていたから変える必要がないと思っている。時代に合わなくなっていても1個(1人、1セクション)だけでは全体を変えることはできない。経営学でいう『経路依存症』でがんじがらめにかみ合っている」。

 八芳園は、栃木県那須塩原市、山梨県山梨市、宮崎県宮崎市や福島県岩瀬農業高校、徳島商業高校など全国13の市町・学校と連携協定を結んでいる。井上社長はその狙いと目的について「日本は、世界的にも希少な地域の自然、文化、コミュニティの多様性を持っている。地場と美意識にこそ日本の未来への強みがある。交流の力でそれぞれ固有の潜在価値を発掘し、持続的に価値を高めていく新しい場の在り方、つまり『交流文化創造』が大切」と強調した。


八芳園の井上社長

 
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