国観連会員旅館、中規模施設の業績悪化


 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1255会員)はこのほど、決算書などを基に会員旅館の2007年度の経営状況をまとめた「営業状況等統計調査」の結果を発表した。回答旅館172施設のうち経常損益で赤字の旅館は全体の約34.9%を占めるなど、引き続き厳しい実態が浮き彫りになった。特に中規模旅館(31〜99室)で赤字施設の割合が高く、業績の平均値をとると、増収減益で経常赤字、債務超過の状態を示した。

 中規模旅館では、全体に占める経常赤字の施設の割合が38.6%で、前年度比4.1ポイント減だったが、業績の平均値では前年度の経常黒字から経常赤字に転じた。自己資本比率も前年度にはプラスに上向いたが、再びマイナスを示し、債務超過になった。

 中規模旅館の1軒当たり平均は、年間宿泊人員が3万8025人で5.3%減少したが、宿泊客1人当たりの売上高が17.7%増の1万9906円に伸び、総売上高は10.6%増の7億5693万円。しかし、販管費の比率が上がるなど、営業利益率は1.0ポイント減の1.5%にとどまった。その上、借入金の利息の支払いなどで収支を悪化させたようだ。

 これに対し、大規模旅館(100室以上)の業績の平均は減収減益、小規模旅館(30室以下)は減収増益だった。いずれも年間宿泊人員は増加したが、客単価が下がり、総売上高が減少。ただ、コスト削減などの合理化、効率化が進んだとみられ、ともに営業利益率がわずかながら上がり、かろうじて経常黒字を確保した。

 大規模旅館は、経常赤字の施設の割合が前年度と増減なしの28.8%。1軒当たり平均の宿泊人員は2.5%増の11万5435人だが、宿泊客1人当たりの売上高は4.7%減の1万8537円に下降、総売上高は2.4%減の21億3977万円となった。営業利益率は0.3ポイント増の3.7%。経常利益率は0.6ポイント減の1.8%だった。

 小規模旅館は、経常赤字の施設の割合が7.7ポイント減の36.0%。1軒当たり平均の年間宿泊人員は5.4%増の1万1668人だが、宿泊客1人当たりの売上高は10.3%減の2万4800円に大幅に下降し、総売上高は5.4%減の2億8936万円だった。営業利益率は0.2ポイント増の2.2%。小規模旅館は前年度が経常赤字だったが、黒字に転じ、経常利益率は1.0%となった。

 また、稼働率を規模別にみると、小規模旅館で定員稼働率が前年より増加し、中規模旅館で客室稼働率が増加したほかは、いずれも減少した。定員稼働率は大規模42.0%(1.0ポイント減)、中規模36.0%(4.5ポイント減)、小規模35.1%(4.4ポイント増)。客室稼働率では大規模60.3%(3.0%減)、中規模60.3%(1.8ポイント増)、小規模56.5%(1.6ポイント減)となった。

旅行業の送客比率低下
 国観連の営業状況等統計調査の結果によると、宿泊人員全体に占める旅行業者(ネットエージェントを除く)の送客人員の割合が、07年度の大規模旅館では前年度から大きく低下した。前年度比8.6ポイント減の62.5%で、バブル期以降で最も低い数値を示した。

 旅行業者の送客人員の占める割合を同調査では、「旅行業依存度」として毎年度(2000年度以前は5年ごと)算出している。07年度はすべての規模の旅館で低下しており、中規模旅館が1.6ポイント減の59.8%、小規模旅館が2.8ポイント減の37.1%となった。

 なかでも減少幅の大きかったのが大規模旅館。過去の推移をみると、1975年度は71.7%だったが、1980年度には61.0%と過去最小値を記録。バブル期に入ると上昇し、1990年度に過去最高値の71.9%に達した。2000年度以降は67%前後で推移し、再び05年度に69.2%、06年度に71.1%と上昇傾向だったが、07年度は大きく低下した。 ネット比率は上昇 自社サイトも増加  これに対し、ネットエージェントや自社サイトなどのインターネットを経由した宿泊人員の割合は、大規模旅館で0.7ポイント増の7.0%に増加した。自社サイトに限定すると、0.3ポイント増の4.0%だった。

 宿泊人員全体に占めるインターネット経由の割合、自社サイト経由の割合は、他の規模でも増加傾向にある。小規模旅館が0.9ポイント増の18.4%、自社サイトだけでは1.2%増の10.2%。中規模旅館は1.0ポイント増の12.6%、自社サイトは3.8ポイント増の8.5%に伸びた。

 
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