
観光庁2020年速報値
観光庁の旅行・観光消費動向調査の2020年年間値(速報値)で、日本人の国内旅行消費額は、前年比54.9%減の9兆8982億円となった。新型コロナウイルスの流行に伴う緊急事態宣言の発令などで旅行者数が減少し、現行の調査手法となった2010年以降で最低値を記録した。サービスや商品を購入する消費者側に立った統計で、国のGo Toトラベル事業による旅行代金の補助や地域共通クーポン、都道府県や市町村による旅行費支援の金額を除いて集計されている。
集計対象の国内旅行は、観光、帰省、業務など旅行目的は問わない。無作為抽出した日本国内に居住する約2万6千人から四半期ごとに回答を得て集計。国内旅行の消費額や延べ旅行者数の全体を推計している。
■旅行消費額
20年の国内旅行消費額の内訳は、宿泊旅行が前年比54.9%減の7兆7394億円、日帰り旅行が同54.8%減の2兆1588億円。
20年の国内旅行消費額は、10連休のゴールデンウイークなどのプラス要因があった19年の半分以下だった。消費税率の引き上げで需要が冷え込んだ14年(18兆4204億円)、東日本大震災が発生した11年(19兆7369億円)と比べても大幅な落ち込みとなった。
20年を四半期別に見ると、新型コロナの第1波による緊急事態宣言の発令期間を含む4~6月期は前年同期比83.2%減の1兆46億円。夏場に第2波を迎えたが、Go Toトラベルの開始で需要が喚起された7~9月期は同56.6%減の2兆9028億円だった。
Go Toトラベル事業は、10月1日から東京発着の旅行や地域共通クーポンの配布が加わって本格実施となり、市場を活性化させた。統計上は補助分が消費額から差し引かれているが、10~12月期の国内旅行消費額は、同46.5%減の2兆6935億円だった。
10~12月期の宿泊旅行の旅行消費額を月別に見ると、10月が前年同月比46.4%減の7051億円、11月が同32.0%減の9148億円、12月が同53.7%減の5834億円。Go Toトラベル事業の利用が進んだ11月には下げ幅が縮小。しかし、第3波の感染拡大で、12月以降、再び旅行需要が冷え込んだ。