日本旅行業協会(JATA、金井耿会長)は来年4月から、国内旅行の宿泊日数と観光旅行消費額を増やすための取り組みを開始する。今月4日、協会内の国内旅行委員会を開き、この「宿泊旅行拡大推進行動計画」の概要をまとめた。「もう1泊。もう1度(たび)。春夏秋冬季節のリズムで旅しましょう」をキャッチコピーに、新たな需要喚起、宿泊業界との協働による宿泊増進など5つの柱の実現を目指す。
宿泊旅行の拡大に向けて(1)宿泊旅行に行かない人を誘い出す(2)年1回以上旅行に出かけていた人をもう1回旅行に誘う(3)2泊以上の連泊を増やす の3戦略を進める。行動計画は「マーケット」「会員会社や観光関連団体」「宿泊関係業界や宿泊施設」「地域、運輸機関など」「国や関係省庁など」の別に5つの柱を掲げ、全部で10の具体的な取り組みテーマを設けた。
JATAの興津泰則・国内・訪日旅行業務部部長は「まずはTIJ(日本ツーリズム産業団体連合会)との連携を急ぐ」と当面の課題を話す。計画では数値目標は示していないが、日本人の国内観光旅行による1人当たりの宿泊数4泊、観光旅行消費額30兆円という観光庁の観光立国実現のための目標につなげる。このため観光庁の協力も得たい考えだ。
JATAによる旅行需要促進策は、今年4月に始まった海外旅行者2千万人を目指すVWC(ビジット・ワールド・キャンペーン)が先行している。「観光立国の5つの目標はほとんどが国内旅行に関するもの。今回の計画発表で、JATAとして国内旅行施策も担っていくと明快に宣言した」(興津部長)。
5つの柱と10テーマ 柱1=マーケットに対して提唱、行動する(1)新たな需要喚起・創出 柱2=会員会社や観光関連団体に対して提唱、行動する(2)新たな商品造成、素材開発(3)教育旅行(4)安心、安全(5)人材育成 柱3=宿泊関係業界や宿泊施設に対して提唱、行動する(6)宿泊関係業界との連携による宿泊増進 柱4=地域(サプライヤー、自治体など)、運輸機関などに対して提唱、行動する(7)地域行政、地域観光団体や地域の他業界との連携(8)運輸機関などとの連携 柱5=国、関係省庁や関係機関に対して提唱、行動する(9)休暇取得促進(10)制度・体制整備