国交省、Maasで実証実験


第1弾に「観光地型」5事業

 国土交通省は、ITなどを活用して一元的な移動手段を提供する新たなサービス「MaaS」(マース)の実現を目指して「新モビリティサービス推進事業」で地域の取り組みを支援していく。地域交通の課題解決に向けて実証実験を行う先行モデル事業として応募の中から19事業を選定。このうち第1弾として実証実験の準備が整った15事業に対する予算の交付を7月31日に決定した。第1弾の中には、二次交通の充実などを目的とする「観光地型」の5事業が含まれている。

 MaaSは、「モビリティ・アズ・ア・サービス」の略。出発地から目的地までの移動ニーズに対して最適な移動手段を継ぎ目なく検索、予約、決済できるよう一つのアプリで提供するなど、移動を単なる手段としてではなく、利用者にとっての一元的なサービスとして捉える概念。国交省は、都市、地方、観光地それぞれの地域が抱える課題の解決に向けて「日本版MaaS」の実現を目指している。

 第1弾の観光地型の事業は、会津Samurai MaaSプロジェクト(福島県会津若松市)▽志摩地域観光型MaaS実証実験(三重県志摩地域)▽大津市中心市街地および比叡山周辺の活性化を目指した大津市版MaaS実証実験(滋賀県大津市)▽瀬戸内の復権へ:海・陸・空の自由な移動網による国際観光先進都市の創造(瀬戸内エリア)▽八重山MaaS化事業(沖縄県八重山地域)。

 このうち三重県志摩地域では、志摩市、近鉄グループホールディングスなどが連携して実証実験を行う。第1期は、移動経路の検索などの環境整備、交通機関のオンデマンド運行の試行などを進める。第2期では、複数の交通サービスや旅行商品を統合したMaaSアプリを構築し、検索・予約・決済機能やデジタルフリーパスの販売などを検証する。

 瀬戸内エリアでは、官民で構成する協議会が実証実験を実施。高松空港から入域して香川・瀬戸内地域を巡る観光客に対し、海上タクシーを含む海、陸、空の交通機関やツアーバスの観光事業者などのデータを連携させた旅程提案型MaaSの提供を目指す。観光客の行動変化などを検証し、瀬戸内観光の振興に生かす。

 第1弾に入らなかった観光地型の先行モデル事業には、ひがし北海道観光型MaaSにおける移動および車両データ収集、利活用実証(ひがし北海道エリア)▽伊豆における観光型MaaS実証実験(静岡県伊豆エリア)▽山陰エリア(鳥取県・島根県)における観光型MaaS実証事業(山陰エリア)―があるが、この3事業についても準備が整い次第、予算の交付を決定する。

 新モビリティサービス推進事業では、観光地型のほか、移動手段の多様化、渋滞や混雑の緩和、高齢者などの移動手段確保などを目的に「大都市近郊型・地方都市型」「地方郊外・過疎地型」の地域での実証実験も支援する。観光地型8事業以外の先行モデル事業11事業は次の通り。

 大都市近郊型・地方都市型=日立地域MaaS実証実験(茨城県日立市)▽顔認証やアプリを活用するキャンパスMaaSおよび医療MaaS実証実験(茨城県つくば市)▽社会実装に向けた前橋版MaaSの実証(前橋市)▽神奈川県における郊外・観光一体型MaaS実証実験(神奈川県川崎市・箱根町)▽令和元年度静岡型MaaS基幹事業実験(静岡市)▽まちなか自動移動サービス事業実証実験(神戸市)

 地方郊外・過疎地型=こもののおでかけをMaaSで便利にするプロジェクト(三重県菰野町)▽相楽東部地域公共交通再編事業(京都府南山城村)▽京都丹後鉄道沿線地域での地方郊外型WILLERS MaaS事業におけるQRシステム導入実証(京丹後地域)▽定額タクシーを中心とした過疎地型RuralMaaS実証実験(島根県大田市)▽庄原地区先進過疎地対応型MaaS検討・実証プロジェクト(広島県庄原市)

 
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