国土交通省はこのほど、河川や緑地、街並みなどの社会資本を生かした地域づくりを表彰する「手づくり郷土賞」の2009年度の選定結果を発表した。受賞したのは一般部門で17件、過去の受賞団体から選ぶ大賞部門で2件。観光振興に関係する取り組みでは、一般部門で福島県福島市の「歴史といで湯の“いいざか温泉趦まちづくり活動」(飯坂町周辺地域づくり協議会)などが選ばれている。
86年度に創設された賞で24回目を迎えた。東京大学の西村幸夫教授を委員長とする有識者委員会が選考を担当した。地域のシンボルとなっている施設や歴史、文化、特産物などを中核にしたにぎわいづくり、荒廃地や遊休地の増加といった課題に対応した地域づくりなどの案件が選ばれた。
福島市の“いいざか温泉趦まちづくり活動では、町内会や旅館組合でつくる協議会が、廃屋旅館の前に花壇やベンチを設置した休憩所をつくり、観光客と地域住民の交流の場にした。
このほか一般部門では、富山県富山市の「回船問屋群のある街並み 富山市岩瀬のまちづくり」、長野県飯山市の「菜の花による地域活性化」、大分県日田市の「『水郷ひた』観光に寄与した花月川の川づくり」などを選出した。
富山市では、失われつつある景観やにぎわいを取り戻そうと、街並み整備協議会をつくって整備方針を策定。市では02年度から無電中化や建造物の修復を実施。観光客が増加し、観光案内のボランティア活動の活性化にもつながった。
唱歌「朧月夜」に詠われたと言われる風景が広がる飯山市では、瑞穂地区の約8割の家庭が参加する「菜の花をさかせるかい」を中心に菜の花公園づくりが行われている。栽培面積は約14ヘクタールにまで広がり、観光名所となっている。
日田市では、川づくり懇談会を立ち上げ、官民一体で花月川の整備に取り組んだ。竹灯籠を飾ったところ好評だったことから、「千年あかり」のイベントとして05年以来、毎年実施している。「水郷ひた」の風物詩として人気を呼んでいる。
大賞部門では、漫画「ゲゲゲの鬼太郎」にちなんだ妖怪の魅力を生かした「水木しげるロード」(鳥取・境港、水木しげるロード振興会、境港市)の地域づくりなどの2件を選んだ。