佐賀県嬉野温泉の和多屋別荘は1月から、携帯電話の位置情報を使った人気ゲーム「コロニーな生活プラス(コロプラ)」を運営するコロプラ(東京都渋谷区、馬場功淳社長)と提携し、ゲームに連動したサービスに取り組んでいる。物販コーナーやレストランの利用者に対しゲームを進めるための専用カードを配布することで、新規顧客の獲得のほか、温泉湯どうふや嬉野温泉のPRにもつながっているという。
コロプラは、携帯電話の位置情報送信機能を使ったシミュレーションゲーム。移動距離に応じてもらえる仮想通貨を使い、自分の「コロニー」の住人を増やしたり、現地位置登録しなければ入手できない「お土産アイテム」を集めたりするもの。ゲーム利用者に移動を促し、旅行の促進にもつながるとして関心を集め、JR各社などの運輸事業者や旅行会社などとのタイアップ企画や旅行商品も展開されている。
和多屋別荘が提供するのは、日本の逸品を記載したゲーム専用のカード「コロカ」を配布するサービス。物販コーナーで販売している土産品「和多屋別荘の温泉湯どうふ」や館内レストランで提供しているメニュー「温泉湯どうふ御膳」など指定商品の購入者に対し、金額に応じて「和多屋別荘の温泉湯どうふ」が記載されたコロカを配布する。和多屋別荘の温泉湯どうふの絵とシリアルナンバーが記載されたコロカを入手したゲーム利用者は、シリアルナンバーをゲーム画面上で入力することで、バーチャルな温泉湯どうふをゲーム内のアイテムとして収集したり、他のユーザーと交換したりできる。
コロカ記載商品は、コロプラ社が「土地の空気感が伝わり、旅費をかけてでも手にするべき価値があるもの」(コロプラ)として認定したものに限定。佐賀県ではすでに3商品が選ばれているが、嬉野温泉の名物である温泉湯どうふを和多屋別荘がコロプラに紹介したことがきっかけとなり、同館が提供する温泉湯どうふがコロカ商品となった。
同館でのコロカサービスのスタートが発表された1月6日は発表後から5組が来店。その後も連休や週末を中心にゲーム利用者らが数多く来店し、平均8千円分の商品を購入しているほか、実際に温泉湯どうふを食べたゲーム利用者がゲーム内外の掲示板などで、温泉湯どうふの感想を書き込むなどの広がりも見せる。「今まで和多屋別荘に関心がなかった層、温泉湯どうふを知らなかった人への訴求効果は大きい」と同館。
コロカを配布するコロカ提携店は、現在全国で96店舗。現在提携店の商品を集めた物産展の開催などの構想も持ち上がっているという。和多屋別荘では、「宿泊施設としては周辺を周遊してもらい、さらに宿泊してもらうのが理想。他の提携店とも横の連携を取りながら、地域を活性化できる取り組みができればいい」と語った。