北海道観光振興機構は、観光事業者や自治体関係者に海外から来道する観光客の宗教や文化、主義を背景とした多様な食文化への対応を学んでもらうオンラインセミナー&ワークショップ「ベジタリアン&ムスリム、おもてなしのススメ」を10月から開催している。
東京オリンピック・パラリンピックを控え、内外からのさまざまなニーズを持つ観光客が安心安全に道内旅行を楽しめる環境づくりにつなげるもので、コロナ後の観光需要も見据えた取り組みとして力を入れている。
10月19日の函館エリアを皮切りに、11月末までに小樽、札幌、富良野・美瑛、その他の5エリアに分けて開催。各エリアとも20人ほどが参加を申し込んでいる。
セミナーでは、講師のベジタリアンフードセラピストの安藤夏代氏と函館大学准教授の藤原凛氏が世界の食文化の現状やベジタリアン、ムスリムへの対応方法について講義し、ワークショップを通じて参加者からの質問や取り組みにアドバイスする。
ベジタリアンには完全菜食主義のビーガンや、卵や乳製品を摂取できる人など多くの種類があることや、来道者の多い台湾における素食志向について理解を深め、実際にベジタリアン料理の出汁(だし)や豆腐、厚揚げ、こんにゃくを使うハラールミートの作り方を学んでもらっている。
同機構は2018年度から事業項目にユニバーサルツーリズム推進事業を設け、各地域におけるバリアフリー観光への対応やムスリムの受け入れ環境整備を進めている。対応できるホテルや飲食店は、多言語で運用するウェブサイトに掲載し、観光客らの利用に供している。
同機構は「セミナーを通じて各地域のベジタリアンやムスリムの食文化に対する理解と対応を広げることができている。引き続き、こうした機会をつくり、受け入れの強化につなげていきたい」と話している。