創刊3000号、これからも観光業界とともに


 観光経済新聞が創刊3千号を迎えた。1950年(昭和25年)の創刊以来、観光業界の発展に寄与する紙面作りに努め、今後もその方針は変わらないだろう。本社の過去の節目の新聞から、観光業界の歴史の一端を眺めてみる。

 本紙の創刊号は残念ながら残されておらず、最も古い節目の新聞は1963年(昭和38年)9月21日付の創刊400号だった。1面トップは「四団体対税問題検討」「業界三首脳動く」の見出しで政府税制調査会、自民党政調会に対する宿泊団体の税制改正要望を伝えている。

 創刊千号は1976年(昭和51年)12月11日付。1面トップの見出しは「正月客 格差あるがまずまず」「温泉地はよく入る」。日本交通公社(現JTB)の電算仕入れ客室の消化率と本社の取材から全国主要温泉地の正月の入り込み(予約)状況を分析している。

 「東北では、蔵王が4日間満員なのはスキー客で、これは例年のこと」「関東では、やはりスキー場のある草津、万座などがフル稼働」と、当時のスキー人気の高さをうかがわせる記事となっている。

 1981年(昭和56年)11月14日付は創刊30周年記念号。1面で「公営宿泊施設『建設は不適当』」との見出しで、政府の第二次臨時行政調査会で公営宿泊施設建設に対する批判の声が出たことを取り上げた。民業を圧迫する公営宿泊施設問題はその後も長く業界内で議論されている。

 同号では「創刊30周年記念論文」の優秀賞を発表。山形県かみのやま温泉「日本の宿 古窯」の佐藤洋詩恵社長(当時常務)らが入選している。

 創刊1500号は1987年(昭和62年)10月3日付。同記念号は翌週まで2週にわたり発行している。1面に江口恒明本社社長(当時)の「創刊1500号に寄せて」と題したあいさつ文と、本社主催「にっぽんの温泉100選」の第1回投票結果を掲載。今年、第33回を数える温泉100選の第1回1位は和倉(石川県)、2位は雲仙(長崎県)、3位は指宿(鹿児島県)だった。投票葉書の回収枚数は3336枚。1枚の葉書に温泉地5カ所まで記入でき、総投票数は1万4438票だった。ちなみに直近の第32回は回収枚数8337枚、総投票数2万1649票と、ともに第1回を大きく上回る。

 1500号記念特集第2号(1501号)では、JR発足に伴い設立されたJRグループ協定旅館連盟(現JRグループ協定旅館ホテル連盟)の“実質的な創立総会”となる昭和62年度通常総会を取り上げた。初代会長に石島惟秀氏(栃木県・一柳閣本館)が就任。旧国鉄と関係が深い日本観光旅館連盟から5氏が副会長に就任し、「JRグループの旅行業展開に“受け皿”が整った」と解説している。

 時代が平成に移った1990年(平成2年)の8月4日付は創刊40周年特集号。1面ではJTB旅連事業が、人身事故で1人当たりの最高限度額を2億円とする超大型タイプの旅館賠償責任保険を開発したことを伝えている。「公旅連(現JTB協定旅館ホテル連盟)会員から人身事故の補償限度額アップを求める強い要望が相次いだため、これに応えるもの」と、当時の担当者がコメントしている。

 40周年特集号は3週にわたり発行した。第2号では全国旅館環境衛生同業組合連合会(全旅連=現全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)会長、自民党観光産業振興議員連盟(観議連)幹事長を務めた、当時農林水産相の山本富雄氏にインタビュー。山本氏は「観光と産業を結び付けて各県が『観光立県宣言』を」と呼び掛けている。特集第3号では本社40周年記念論文コンクールの入賞作決定を報じた。

 1998年(平成10年)6月13日付は創刊2千号。1面では本社が当時掲げていた業界のテーマ「21世紀へ観光立国宣言の推進を」「低価格時代、経営再構築を推進しよう」「旅行業と旅館・ホテルの真の一体感を」「公営宿泊施設の民業圧迫を阻止しよう」をそれぞれ解説。3面では当時の観議連会長で前大蔵大臣の三塚博氏にインタビューした。

 2009年(平成21年)1月24日付の創刊2500号記念特集では、「宿泊需要を掘り起こせ」の見出しで、宿泊観光旅行の低迷が叫ばれる中、変則的な1泊2食型の宿泊プラン提案など、新たな需要掘り起こしに取り組む各地の事例を伝えている。

 本紙が4千号を迎えるのは21年後の2040年(令和22年)。そのころなどんな業界地図が描かれているのだろうか。


      

 
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