全日本ホテル連盟、「関係人口」創出の方策を議論 幸手市でタウンミーティング


パネルディスカッションの様子

 全日本ホテル連盟(ANHA、清水嗣能会長=福井県・ホテルリバージュアケボノ)は12日、埼玉県幸手市内でタウンミーティングを開いた。「関係人口」をキーワードに基調講演やパネリストを交えたディスカッションを実施し、幸手市の観光活性化や、地域におけるホテルの役割について意見を交わした。

 タウンミーティングは毎年全国各地の会員が持ち回りで開催し、今回で5回目。会員ホテルや幸手市の地域事業者、住民など100人以上が参加し、木村純夫幸手市長、同市商工会、観光協会の梨本松男会長も来賓として出席した。

 冒頭あいさつした清水会長は、「関係人口が拡大すると宿泊業も地域も訪れる人も『三方良し』。幸手市をより良い街にし、多くの人が訪れる施策を考える機会になることを期待している」と会の意義を強調した。

 第1部の基調講演では、リクルート社のES・CSアドバイザー・山田修司氏が、関係人口を呼び込む工夫として、相手への小さな気遣い「リトルタッチ」を提案。リトルタッチを体験した人の再利用(購入)率は93%と高く、特に宿泊業界での体験が顕著であることを示し、「まずはここにいる経営者の皆さんから率先して取り組んでほしい」とアドバイスした。

 続く埼玉県議会議員の吉良英敏氏による講演では、「つながりを意識した地域活動」について解説。コミュニティデザイナーや僧侶としても活躍する吉良氏は、ケアラー支援や子どもの居場所づくりなど多岐にわたる活動を紹介し、「これらの取り組みや地域資源をつなぎ合わせることによって関係人口が育まれ、地域全体の幸せにつながる」と語った。

 第2部のパネルディスカッションには、ホテル、行政、子育て、不動産といった多様な分野で幸手市の地域発展に寄与する4氏が登壇。ホテルグリーンコア(幸手市)の入澤健氏は、カフェ運営でこれまで1万人と交流を深めてきたこと、市の広報担当・秋元俊哉氏は、幸手市の新たな名物を生み出そうと、同市の観光名所である権現堂の桜と菜の花の色を生かした「権現堂カレー」を開発したことなど、関係人口の増加に向けた取り組みを紹介した。

 地元ホテルに期待することとしては、「地域情報を集約する機能が備わっているとよい」「宿泊客がいない時間帯には、子育て世代が活躍する場として開放してほしい」などの意見が挙がった。

 ファシリテーターを務めたANHAの金子裕子研修委員長(ホテルグリーンコア)は、「(登壇者のように)各分野で台風の目として活躍する存在が手を取り合い、一緒に活動していく新たなフェーズに入っていくのではないか。自身がやるべきことを熱量高く取り組んでほしい」と総括した。


パネルディスカッションの様子

 
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